弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

厚労省が感染ピークの患者数推計算式を示す,病床数のダウンサイジング政策との関連は

厚生労働省は、感染がピークを迎えたときの北海道大大学院の西浦博教授(理論疫学)らの研究チームがまとめた計算式を示しました。この計算式に総務省が示したおととし10月時点の人口推計を当てはめると、東京都ではピークを迎えたときには1日当たりの外来患者がおよそ4万5000人、入院患者がおよそ2万人、重症患者が690人余りとなるそうです.
なお,厚生労働省は「推計のとおりにならない可能性も高いため、実際の感染状況を踏まえて適切に医療体制を確保することが必要だ。今後、新たな知見に基づき計算式を見直す可能性もある」とのことです.
マスクや消毒薬の安定供給すらできない現状で,外来患者がおよそ4万5000人,入院患者がおよそ2万人、重症患者が690人余りに対応する医療体制を東京都が整備するのは,大変なことでしょう.
インフルエンザの死亡率は約0.1%ですが,新型コロナ感染症の死亡率はWHOによると3.4%です.死亡者数は,重症課する前の診療,重症患者に対する診療をどこまで提供できるかにかかってきます.
ちなみに,感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)は,全国で,特定感染症指定医療機関が4医療機関(10床),第一種感染症指定医療機関が55医療機関(103床),第二種感染症指定医療機関で感染症病床を有する指定医療機関が351医療機関(1758床)ですから,桁違いに病床数が足りません.

厚生労働省は、1992年から医療費削減のために病床のダウンサイジングを求め続け,昨年424の公立公的病院の統廃合を求めていました.稼働病床数を10%以上減少させると補助金が支給されます.そのために84億円の予算が組まれています.
WHOが新型ウイルスと認定したのが1月8日ですが,厚生労働省は,令和2年1月17日に通知「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」を発していました.この頃は今のような事態を予測していなかったでしょう.
今は,新型コロナウイルス感染のために,真逆の方向へ舵をとる必要がでてきたわけです.そもそも医療体制は余裕余力が必要で,病床数のダウンサイジング政策を見直す必要があるでしょう.

なお,イタリアでは,医療費削減政策の結果,貧困層の多い南部で新型コロナウイルス感染者が増えれば医療制度が追い付かない危険があると報じられています死者数が多いのは適切な医療を受ける体制がないからと考えられます.日本は医療崩壊による死亡者增が起きないように感染と受診をスクリーニングしてコントロールする必要があるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 06:50 | 医療