弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

県立病院の医師が脚の結果にだけ注目し画像診断報告書の膀胱がんの疑いをも落とし患者が死亡(報道)

共同通信「患者のがん疑い見落とす 滋賀県立総合病院」(2020年3月10日)は次のとおり報じました.

「滋賀県立総合病院(同県守山市)は10日、60代の男性患者のコンピューター断層撮影(CT)検査の画像診断報告書に「ぼうこうがんの疑いがある」と記載されていたのを主治医が見落とし、治療が10カ月遅れるミスがあったと発表した。男性は2017年にぼうこうがんで死亡している。
病院によると、男性は14年に脚の不調で循環器内科を受診し、下半身のCT検査を受けた。この際に検査を担当した医師ががんの疑いを指摘したが、主治医は脚の結果にだけ注目し、指摘を見落としていた。男性は15年に体調を崩して同病院の泌尿器科にかかり、がんが見つかった。
ミスが患者の死亡に結び付いたかについて同病院は「影響があったと考えているが(医療事故調査を支援する)外部団体の意見を踏まえて判断したい」とした。
記者会見した一山智病院長は「亡くなった患者のご遺族に深くおわびしたい」と謝罪した。
同院は昨年10月、男性患者3人のがんの見落としがあったと発表。その後、14~19年の画像診断報告書を改めて調査し、今回のミスが判明した。」


同院のサイトには,以下の再発防止策が掲載されています.

 (1)画像診断報告書の改善を図る。 
 想定外の新規悪性腫瘍が疑われた場合は、画像診断報告書で文字を大きく、赤字で報告し、悪性腫瘍が疑われる場合は「悪性疑い」等と明確に表記しています。

 (2)既読管理システムの確認を徹底する。 
 当院では、2018年2月から電子カルテにおいて、既読管理システム(画像診断報告書の未読既読を一覧で確認できるシステム)を導入していますが、その確認を徹底します。
 具体的には、副院長が月ごとに既読管理システムの閲覧状況とその後の対応の確認を行い、診療部長会議で報告し改善を促すとともに、画像検査を依頼した診療科で責任をもって既読管理システムの確認を徹底しています。

 (3)画像診断報告書のチェック体制を新たに構築する。
 想定外の新規悪性腫瘍が疑われた症例がみられた場合、放射線診断科から副院長に報告し、副院長が電子カルテで当該症例の診療経過を管理しています。
 また、画像診断報告書の確認の徹底を図るため、診療情報管理士を担当者として配置してチェック体制を強化します(2020年4月から実施予定)。

 (4)電子カルテシステムを改善する。
 電子カルテシステムを起動した都度、トップ画面に、未読の画像診断報告書がある場合その旨を知らせる画面がポップアップされるように改修します(2020年3月中に実施予定)。」



上記報道の件は私が担当したものではありません.
同様の事故が全国の病院で起きていることは,システムに欠陥があることを示しています.
再発防止策が徹底されることを期待します.
また,他院においても同様の対策がとられることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-11 09:10 | 医療事故・医療裁判