岡山弁護士会，新型コロナウイルス緊急事態宣言に伴う申入書

岡山弁護士会は，2020年4月21日，広島高等裁判所岡山支部，岡山地方裁判所，岡山家庭裁判所，岡山地方裁判所管内の各簡易裁判所宛ての「新型コロナウイルス緊急事態宣言に伴う申入書」で，
「１　　貴庁に対し，緊急事態宣言を理由とした民事・家事事件の審理期日の一方的な取消を行わず，審理方法の工夫等により審理への影響を抑えつつ，感染拡大防止と両立できる施策を取るよう求める。
２　　貴庁に対し，緊急事態宣言を理由として，被告人の身体を拘束している刑事事件の公判期日について安易な期日延期を行わず，弁護人の意見を聞いて慎重に判断することを求める。また，公判期日を変更せざるを得ない場合及び今後公判期日を指定する場合には，勾留取消や保釈の積極的かつ弾力的な運用，即決裁判の活用，早期の期日指定を行うなど，被告人の身体拘束を長期化させないために最大限配慮することを求める。」
と要請しました.

刑事裁判については他の弁護士会も要請していますが，上記申入書は，民事，家事についても裁判所による大部分の審理期日の取消又は延期の決定は，社会・経済的機能への影響が極めて大きいとして，社会的影響の大きさや国民の権利保護の観点から，極めて不当であると批判するとともに，審理方法の工夫等により審理への影響を抑えつつ，感染拡大防止と両立できる施策を取るよう求めています.

「感染拡大防止と両立できる施策」は，傍聴席の間を開けても，窓を開けても，感染者が触れた物から感染するリスクがありますので，webまたは電話になるでしょう.
ただ，webまたは電話でも，現状では，裁判官は裁判所に登庁しなくてはならず，裁判官の感染リスクは払拭できません.弁護士は安全なところにいて，裁判官に危険を犯して登庁することを求めるのは少なくも東京では難しいでしょう.仮に5日に１回の登庁で調整したとしてもなら，５分の１ですから期日は入りにくくなります.
たしかに，民事，家事の期日を全て先送りにするのは問題ですが.

この際，予算を手当してもらい，必要な法改正を行い，ｅ法廷を実現し，裁判官も書記官も誰も裁判所に登庁しない体制を創るのが働き方改革からも最もよい方法と思いますが，現実的には未だハードルが高そうです.
また，医療事件については，図書館が閉館し，医師との面談も難しくなっていますので，予定通りの進行は難しくなっています.

谷直樹

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