薬害オンブズパースン会議「アビガンに関する意見書(新型コロナウイルス感染症に関して)」
薬害オンブズパースン会議は,2020年5月1日,「アビガンに関する意見書(新型コロナウイルス感染症に関して)」を提出しました.
同会議は,「新型コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)の臨床試験以外の使用(「観察研究」として行われている適応外使用)や承認申請された場合の対応については、慎重に行うことを求める。」とのことです.
現代ビジネス「アベガン」の声も…安倍官邸が猛プッシュ、アビガンは本当に効くのか 疑問を呈する専門家も少なくない」(5月2日 長谷川学氏)は次のとおり隈本邦彦教授と小川和宏准教授の意見を伝えました.
「江戸川大学の隈本邦彦教授が語る。
「新型コロナ感染症は8割が軽症ないしは無症状で回復する病気ですから、飲んだ患者が治ったからといって、自然経過との区別はまったくつかないでしょう。薬の本当の効果は、プラセボ等の対照群と比較する厳密な臨床試験でしか証明できません。いまのところ結果が公表されている中国の2つの臨床試験はいずれも二重盲検ではなく、患者の選びかたが恣意的である可能性があるなど、信頼できません」
米国では候補薬に入っていない
さらに、アビガンには新型コロナ以前から疑義が示されてもいたという。
「アビガンの添付文書はインターネットで公開されていますが、それを見ると、もともとの抗インフルエンザ薬としても十分な有効性が証明できず、タミフルに劣っているという事実が書かれています。米国や欧州ではそもそも承認されておらず、米国感染症学会の新型コロナ治療ガイドラインでは候補薬の1つにさえ入っていないのです。
それなのに、テレビのワイドショーでは、軽症患者にもどんどん使うべきとか、早期承認せよ、といった推進の大合唱。強い疑問を持たざるを得ません」」
「金沢大学医学部の小川和宏准教授は、「臨床試験の結果が出るまでは、アビガンは “効く” とも “効かない” ともわからない」として、こう語る。
「アビガンがエボラ出血熱の治療に用いられた際には、患者の体内のウイルス濃度が低い段階で使用すれば、死亡率がおおむね半減しました。感染しても多くが重症化せずに回復する新型コロナと異なり、エボラ出血熱では感染すると80%前後が亡くなっていたので、効果を評価しやすいのです。
また試験管内では、多くのRNAウイルス(新型コロナも同種)を抑制することが、かなり前から報告されていますが、人間で効くかどうかは、それぞれのウイルス感染症について臨床試験をやってみないとわかりません。そのための治験が現在行われているのです」
「日本では森友問題で財務省が公文書を改ざんしたように、改ざんが当たり前になってしまっているように思います。アビガンの備蓄量を現在の3倍にするため、政府は139億円の予算をつけると報道されています。巨額の税金が投入されることから、今回の治験では、政治やマスコミ、世論に迎合して、データの改ざんが行われないよう、とくに厳しく監視する必要があります」」
古森重隆会長が安倍首相のゴルフ仲間だから,官邸がアビガンを推すのでしょうか.
安倍首相は4月27日「衆院本会議で我が国が開発したアビガンについては、すでに2000例以上の投与が行われ、症状改善に効果があったとの報告も受けています。希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大にすると共に、可能な限り早期の薬事承認を目指すべく努力をしております」と述べました.対応が遅いと言われている安倍首相がアビガンについてだけは前のめりです.
会社四季報「アビガン」の承認は果たして急ぐべきなのか?新型コロナに対する「救世主」視もされるが…」(2020年4月26日)は次のとおり述べています.
「むやみに承認を急ぐことは得策ではない。現場の医療関係者の投与効果に対する意見も数多く発信されている。これらの意見を集約すると、一定の効果はあるが万能薬でなく、投与量、期間の設定に加えて、有効性と安全性の定量的な評価が不可欠というものだ。すでに触れたように副作用の問題もある。緊急時とはいえ、外野から治験前の治療薬候補物質の手続きについて、あれこれ口出しするのは避けた方が良いのではないか。」
谷直樹
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