《春雨図屏風》
左隻
《春雨図屏風》(東京国立博物館蔵所蔵)は,下村観山氏が,大正5年(1916年)に院展に出品した作品です.
ほぼ等身大の大きな六曲一双の屏風です.絹の裏から金箔を貼り彩色する裏箔の技法で,雨を線ではなく光で表現しています
日本では,歌川広重氏の《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》,葛飾北斎氏の《すほうの国きんたいばし》など線で雨を表現していました.
光で雨を表現するのは,印象派と共通の発想と思います.
ギュスターブ・カイユボット氏の《パリの通り,雨》1877年
アルフレッド・シスレー氏の《モレ=シュル=ロワン,雨の日 》 1892年
ちなみに,大正5年(1916年)の文展(文部省美術展覧会)には,池田蕉園氏の夫池田輝方氏が六曲一双の屏風《夕立》(山種美術舘所蔵)を出品しています.こちらは白い線で表現されています.当時の人は,どちらの雨を好んだのでしょうか.
右隻
左隻
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓