黒川弘務氏の定年延長の背景と法改正
黒川弘務氏は,法務省の官房長,法務次官として,5年間,検察首脳会議に出席していました.
黒川氏の法務省の官房長,法務次官在任の5年間に,大臣クラスの政治家(小渕優子氏,松島みどり氏,甘利明氏,下村博文氏,佐川宣寿氏)が関与する疑惑事件が起きましたが,結局1件も立件されませんでした.
黒川氏が検察首脳会議で実際にどのような発言を行ったのかは不明ですが,官邸の門番,守護神と言われるようになったのは,このような事情があるからのようです.
現行法は,検事総長の定年が65歳,検事総長以外の検察官の定年が63歳です.稲田伸夫検事総長の定年より黒川氏の定年のほうが先にくるので,黒川氏が検事総長になることはないはずでした.
ところが,黒川氏の定年が延長されたことで,黒川氏が検事総長になる可能性がでてきました.
国家公務員法の定年延長の規定は検察官に適用されない,というのが公的な解釈で,実際,検察幹部の定年延長はそれまで行われてたことがありませんでした.
そこで,従来の公的な解釈に反して,異例の定年延長が黒川氏について行われたのは,黒川氏を検事総長にするためという見方があるわけです.
さらに,今後,内閣,法務大臣の裁量で,個々の検察官の定年を延長できるように規定を整備したのが,今回の改正法です.(法改正は,黒川氏の定年延長を後付けで正当化するためのものではありません.仮に改正法が成立しても黒川氏の定年延長は正当化できません.)
「ひるむことのない検察」をモットーにしていた松尾邦弘元検事総長ら検察OBは,明日5月15日、法務省に対し、検察官の定年延長を可能とする検察庁法改正案に反対する意見書を提出すると報じられています.
谷直樹
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