弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

「新しい生活様式」~新型コロナウイルス感染症以外の医療体制

厚生労働省は,専門家会議の提言を受けて,新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表していますが,「新しい生活様式」を実現するために国が何をするのか明確ではありません.例えば,テレワークを奨めていますが,子どもが傍にいてストレスなくテレワークができるはずはありません.シッターを頼む費用を誰が負担するのか,テレワークのために国は何をするのか,示していません.
生活の一部である医療は,新型コロナウイルスと共存する「新しい生活様式」ではどうなるのか,厚生労働省は言及することがありません.

新型コロナウイルス感染症以外について,医療を受けるのに,現実に問題が生じています.
遠隔診療が認められましたが,検査が必要な場合もありますし,実際に医師が診察する必要がある場合も少なくありません.
患者が,発熱などの症状がある場合はもちろんですが,発熱などの症状が無くても新型コロナウイルスに感染している場合があります.感染防御をしないと,患者を診ることで感染するリスクがあります.

医師は,「十分な感染防御ができていないクリニックは、院内感染の危険もあるので発熱などの症状がある患者をなかなか受け入れられない。その結果、治療を受けることができずに複数のクリニックをたらい回しになった患者も少なくない。発熱や喉の痛みなど新型コロナウイルスの主な自覚症状は、呼吸器以外の多くの病気にも当てはまる。どこに行けば診てもらえるか、あるいは新型コロナウイルスでないことを確かめてもらえるかが重要な情報になってくる」と述べています(時事通信「コロナでもう一つの「医療崩壊」 悩むクリニックの現場」(2020年5月15日).

また,リハビリテーションは,患者のQOLを維持し高めるために不可欠ですが,感染リスクをおそれ,中断している患者も決して少なくありません.
これについて,別の医師は,「患者自身が一人でできるリハビリもあるが、ある程度元気な人に限られるし、専用機器を必要とするものも多い。療法士が自宅を訪問する在宅リハビリも、療法士との接触による感染のリスクはある上に効率が悪く、必要とされるスタッフの人数とは開きがある。介護予防の問題もあるので、早急に対策をまとめる必要がある」と述べています(時事通信「コロナでもう一つの「医療崩壊」 悩むクリニックの現場」(2020年5月15日).

さらに,厚生労働省は、医師が「不急」とみなした手術や入院は延期するよう促していますので,実際い手術が延期になっている患者もいるでしょう.検査入院,検診にも影響がでていることでしょう.
しかし,延期している間に病状が悪化しない保障はありませんから,これらをいつまでも延期することはできません.また,受診控えが続くと医療機関の経営が悪化し,医療体制の維持に悪影響がでます.

少なくとも防護具等を整え十分な感染防御ができるよう体制を構築する必要があり,感染防止策について十分な保険点数を付けるべきですし,防護具の購入費用等を援助すべきで,そのためには補正予算による支援が必要と思います.また,もし感染により休院する場合の補償も必要と思います.

「新しい生活様式」は,医療機関受診についても求められるはずです.
感染リスクを抑えながら,医療を受ける新しい生活を可能とするためには,国の施策が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2020-05-17 16:48 | 医療