弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

新潟市民病院,副鼻腔真菌症に対する内視鏡下副鼻腔手術を施行した際に、眼窩内の内直筋断裂を生じ、眼球運動障害及び複視が発生した事案で和解

新潟市民病院は,2020年5月29日,以下の「医療事故に係る和解について」を公表しました.

「1事故の概要
(1)患者新潟市在住の60代女性
(2)経過平成29年12月左副鼻腔真菌症に対する左内視鏡下副鼻腔手術を施行した際に、眼窩内の内直筋断裂を生じ、左眼球運動障害及び複視が発生
令和元年6月症状固定(左眼球運動障害とこれに伴う複視が残存)

2事故の原因
今回の手術では、ナビゲーションシステム(術中の器具の位置を、術前に撮影したCT画像上に表示させるもの)や内視鏡洗浄装置などの手術支援機器を使用し、慎重に手技を行っていたが、患部からの出血が想定以上に多く、視認性が悪化した。患者の身体への負担を考慮し、手術を長引かせないように、視認性が悪化した中で手術を継続したため、術者も気づかないうちに内直筋断裂を生じたものと考えられる。

3和解に至った当院の考え当該手技において内直筋断裂を生じさせたことと、左眼球運動障害およびこれに伴う複視が残存したこととの間に因果関係が認められると判断し、和解に向けて示談協議を進めたところ、議会の議決を条件とする和解金22,960,301円で合意に至った。

4再発防止に向けた取組
(1)内視鏡下副鼻腔手術を安全に施行するため、他医療機関で開催されている手術研修会に参加し、手技の向上に努めることとした。
(2)術中に眼窩損傷の有無を確認する眼球圧迫試験の頻度を増やすとともに、当該手術の全例を録画記録し、眼窩損傷が疑われた際には迅速な検証と対応が出来るようにした。(3)再発防止及び類似事例の発生防止に資するよう、事例の内容を関係職員に周知した。」


上記の件は,私が担当したものではありません.
患部からの出血が想定以上に多く視認性が悪化した中で手術を継続したため内直筋断裂を生じたものと考えられるという事案ですから,過失が認められます.

谷直樹

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by medical-law | 2020-05-30 15:57 | 医療事故・医療裁判