弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京地裁令和2年6月4日判決,抗てんかん薬の規定の16倍の過剰投与と死亡とのンが関係を認め約1500万円の賠償を命じる(報道)

時事通信「東京女子医大に賠償命令 患者死亡、投薬ミス認定―東京地裁」(2020年06月04日)は次のとおり報じました.

「東京女子医大病院(東京都新宿区)で治療中に死亡した女性患者の遺族らが「薬の過剰投与が原因」などとして、同大と担当医2人に計約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。佐藤哲治裁判長は過剰投与と死亡の因果関係を認定し、同大などに計約1500万円の賠償を命じた。

 訴えていたのは長浜裕美さん=当時(43)=の夫と両親。判決によると、長浜さんは2014年8月にけいれん発作を起こし、搬送先の同病院で抗てんかん薬を処方された。翌9月、副作用で発症した皮膚障害による肺炎や肺出血で死亡した。
 佐藤裁判長は、担当医が薬の添付文書に記載された量を大きく超えて投与したと指摘し、「合理的な理由がないのに用法・用量を順守せず、過失が認められる」と認定。投与が重篤な皮膚障害を発症させる恐れについても十分な説明をしなかったと判断した。
 閉廷後に厚生労働省で記者会見した夫の明雄さん(45)は「非常にうれしく思っている。妻にも報告ができる」と語った。原告代理人の弁護士も「主張が全面的に受け入れられた」と評価した。
 東京女子医大病院は「判決を重く受け止め、謝罪の意を表します」などとする病院長のコメントをホームページに掲載した。」



読売新聞「死亡女性への投薬巡り訴訟、病院側に支払い命令の判決…医師の過失認定」(2020年6月4日)は次のとおり報じました.

「東京女子医科大病院で治療を受けていた女性が2014年、処方された薬の副作用で死亡したのは、医師が用法を守らなかったためだとして、女性の夫ら遺族3人が同病院側に計約4300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(佐藤哲治裁判長)は4日、計約1540万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、脳腫瘍を患っていた長浜裕美さん(当時43歳)は同年8月、けいれん発作を起こし、同病院で抗てんかん薬「ラミクタール」を1日200ミリ・グラム処方されて服用。中毒性表皮壊死症を発症し、肺炎を併発して死亡した。

 薬の添付文書には、重い皮膚障害が起きる可能性があるとの警告が記され、投与する量を徐々に増やすよう求めていたが、医師は従わなかった。判決は「医師には合理的な理由もないのに薬の用法や用量を守らなかった過失がある」と認定。副作用を十分説明すべき義務にも違反したと判断した。

 判決後、都内で記者会見した夫の明雄さん(45)は「妻には悔しい思いをさせたが、真実を明らかにできたと報告したい」と話した。同病院の田辺一成病院長は「判決を重く受け止め、謝罪の意を表します」とのコメントを出した。」


上記報道の件は,私が担当したものではありません.
の添付文書に記載された量の16倍の量を投与した事案です.過失が推定されます.死亡との因果関係を認めて当然と思います.ただ,病院側としては投与にいたる理由,事情があるようです.

病院は,以下の「令和2年6月4日付の判決について」をそのサイトに掲載しています.

「当院において再発膠芽腫の患者様が亡くなられたことに対して、あらためて哀悼の意を表します。事案の概要につきましては、当該患者様が、平成26年8月20日に添付文書記載の用量を超えた量の抗てんかん薬の投与を受けたのち、平成26年9月9日に中毒性表皮壊死症による両側肺炎及び肺出血により亡くなられたものです。今般、東京地方裁判所より、当該患者様に対する当院での薬剤処方の結果、患者様が亡くなられたとの判断が下されました。判決を重く受け止め、ここに謝罪の意を表します。

患者様は平成25年9月に他病院において脳腫瘍摘出術を受けておられますが、平成26年8月に当院にて腫瘍の再発が確認されたため、当院で脳腫瘍摘出術を受けることをご希望になりました。しかしながら、手術を延期してでも他に優先したい行事があるとの患者様及びご主人の強い希望があり行事に支障をきたさないようにとの配慮から当該薬剤の処方がなされ ました。また、ご主人からは患者様ご本人 には病名・余命等は一切告げないよう強い依頼があったため主治医としては苦渋の決断であったのも事実であります。

本学としては、本事案に先立つ平成26年2月に鎮静薬の投与後に幼児の患者様が亡くなられたことを受け、院内全体として薬剤処方の厳格な審査システムの採用、教育指導強化等、再発防止策を実施してきたところであり、その中でそのわずか半年後に本事案が生じたことについて誠に遺憾であると考えております。今後も、病院職員が一体となって、患者様の安心安全を至上命題として、大学病院としての高い期待に応えるべく邁進する覚悟です。


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ



にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

by medical-law | 2020-06-04 22:58 | 医療事故・医療裁判