弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

民医連,医療崩壊を回避し、新型コロナウイルス感染症の次なる波に備えるために、全ての医療機関に対し、減収額に応じた緊急財政支援を求める要請書

民医連は,2020年6月9日,「医療崩壊を回避し、新型コロナウイルス感染症の次なる波に備えるために、全ての医療機関に対し、減収額に応じた緊急財政支援を求める要請書」を発表しました.

「今般の新型コロナウイルス感染症に対する貴職のご尽力に敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全国の医療機関では大幅な減収が4月以降続いており、医療機関の経営は深刻な事態を迎えています。多くの医療機関で経営の存続が危ぶまれ、新型コロナウイルス感染症の「次なる波」を前に「経営破綻による医療崩壊」が迫っています。しかも、この経営危機は、一般診療の患者減や感染防御のための費用増など、新型コロナウイルス感染症の対応をする特定の医療機関に限定されたものではなく、全国の医療機関にもたらしています。
 しかし、第二次補正予算案は、わずか365億円にとどまり、その中身は新たに医療機関に借金を負わせるものです。新型コロナウイルス感染症に伴う減収への対策はまったくありません。医療従事者への慰労金給付は反対するものではありませんが、給付対象も限定的であり、そもそも医療従事者の職場が失われては本末転倒です。仮に医療機関が倒産を免れたとしても、このままでは新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線で奮闘してきた、医療労働者の処遇が下がることになりかねません。
 経営破綻による医療崩壊を回避し、国民のいのちを守るために。そして、次の感染の波に備えるために以下、緊急に要請します。



1. 新型コロナウイルス感染症に伴い、減収した全ての医療機関に対し、減収額に応じた支援金を第二次補正予算に盛り込むこと。
2. 支援金を支給した以降は、全ての医療機関に対し、診療報酬の引き上げなどにより、新型コロナウイルス感染症に伴う減収や費用増への財政補償を行うこと。」


第2次補正予算は「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」に2兆2370億円をあてています.これで足りるわけがないのは明らかです.他方,予備費は10兆円です.政府は何を考えているのでしょうか.
医療機関の減収分の補填は必要です.民医連の提案は,1,2ともそのとおりです.

なお,感染を警戒し受診控えが起きていることで,医療機関の経営が苦しくなっていると同時に,患者にも悪い影響がでていろと考えられます.検査を先送りにしたり,診療が必要な疾患についても受診がなされなかったりしている可能性もあります.医療機関の感染予防体制を支援することで,適正受診ができるようにすることも必要でしょう.

【追記】
第2次補正予算案は,反対したのは日本共産党だけで,衆議院を通過しました.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ



にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

by medical-law | 2020-06-10 11:51 | 医療