弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都地裁令和2年6月24日判決,舌がんの事案で歯科医院の転医義務認める(報道)

京都新聞「舌がんを口内炎と診断、病院転送せず歯科医院の過失認定 死亡した女性の遺族勝訴」(2020年6月25日)は,次のとおり報じました.

「京都府宇治市の60代女性が舌がんで死亡したのは、受診した歯科医院が病気に気付かず、早期に別の医療機関へ転送しなかったのが原因として、遺族が同市の歯科医院に対して2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(久留島群一裁判長)は25日までに、歯科医院の過失を認めて300万円の支払いを命じた。判決は24日付。

 判決によると、女性は舌の異常を訴えて2013年1月に歯科医院を受診し、口内炎と診断された。3月まで治療を続けたが改善せず、その後、別の病院で舌がんと診断されて手術を受けた。しかし、肺に転移するなどして12月に亡くなった。
 久留島裁判長は判決理由で、舌の異常が長期間続き、治療に効果が見られなかったことから、歯科医院は重い病気の可能性を認識できたと指摘。別の医療機関に転送する義務を負っていたと認定した。義務違反と死亡の因果関係は認められないとしたものの、早い段階で適切な治療を受けていれば、もっと長く生きられた可能性があったとした。」


報道の件は私が担当したものではりません.
口腔癌の中では舌癌が最も多いので,歯科医は舌の異常を訴える患者を抱え込むことは普通ないと思います.判例雑誌に判決が掲載されたら熟読したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2020-07-01 16:37 | 医療事故・医療裁判