弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

《交響曲 第5番 嬰ハ短調》

《交響曲第5番 嬰ハ短調》は,グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)氏の中期の傑作です.ベートーヴェンの《交響曲第5番ハ短調op.67》の「暗から明へ」を受け継いでいますが,かなり屈折しています.
軋轢からウィーン・フィルの指揮者を辞任した1901年夏にこの交響曲の中心となる第3楽章スケルツォから作曲を開始し,1902年夏に第4楽章アダージェットを加え完成します.

第4楽章アダージェットは,ルキノ・ヴィスコンティ氏の映画『ヴェニスに死す』に用いられ,多くの人に知られるようになった,甘美な楽章です.
映画『ヴェニスに死す』を見るとグスタフ・マーラー氏がヴェニスで感性症で亡くなったように誤解するあかもしれませんが,実際は感染性親愛膜炎から敗血症となってウィーンで亡くなりました.

1901年11月に,40歳のグスタフ・マーラー氏は,22歳のアルマ・シントラー氏と出会い,恋におち,1902年3月に結婚します.生真面目なグスタフ・マーラー氏が,恋多きアルマ・シントラー氏に捧げたのがハープと弦楽器のみで演奏される第4楽章です.
第4楽章のみならず,ピエール・ブーレーズ氏指揮ウィーン・フィルで全曲を通して聴くと,この曲の美しさ,傑作と言われるゆえんがよく分かります.


谷直樹

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by medical-law | 2020-07-07 04:55 | 趣味