大阪大学と国立循環器病研究センターが研究活動上の特定不正行為について公表
「研究活動上の特定不正行為に関する調査結果について公表いたします。
大阪大学における公正な研究活動の推進に関する規程第18条及び第20条(当時)に基づき調査委員会を設置し、研究活動上の不正行為の有無を調査した結果、本学元医員による研究活動上の特定不正行為(ねつ造、改ざん)が認められました。
このような事案が発生したことは誠に遺憾であり、臨床及び基礎研究に対する社会全体の信頼を損ない、研究にご協力いただいた方々をはじめ、関係する研究機関の皆様に多大なご迷惑をおかけしました。
今回の事案を厳粛に受け止め、今後このようなことが生じないよう、教職員の意識向上に一層努めるとともに、鋭意、再発防止に努めてまいります。
なお、本学元医員には、本学就業規則を準用して、本日付けで懲戒解雇(相当)の処分を行いました。」
国立循環器病研究センターは,令和2年8月18日,そのサイトに以下の「研究所元職員による研究活動上の特定不正行為について」を掲載しました.
「今般、当センター研究所の元職員(研究者)が、当センターに所属していた平成22年から平成30年の間に執筆した論文21編について告発があり、不正行為調査委員会を設置し、このうち8編について調査を進めてまいりました(残りの13編は、国立大学法人大阪大学において調査)。
その結果、この8編のうち3編について、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)」及び「国立研究開発法人国立循環器病研究センターにおける研究活動の不正行為への対応等に関する細則」に基づき、同研究者から正当かつ科学的根拠のある説明を得られなかったことから、特定不正行為(ねつ造、改ざん)があったと認定しました。(このほか、大阪大学が調査した13編のうち2編についても、特定不正行為が認定されました。)
我が国の医学研究を先導していかなければならない当センターとして、大変重く受け止めており、国民の皆様、医学研究に携わる皆様に対し、心よりお詫び申し上げます。
当センターとしては、今後、今回の事案を厳粛に受け止めたうえで、再発防止に全力を尽くすことで、社会からの信頼を回復していきたいと考えており、一人ひとりの研究者の研究倫理に関する意識改革や研究能力の向上、さらには、研究データの扱いについての組織的な対応など、調査委員会から指摘された点について、理事長が先頭に立って、鋭意、取組を進めてまいります。
これらの取り組みにより、二度とこのような事態が発生しないように、責任を持って対処する所存です。」
NHK「元阪大病院医師が論文不正」(2020年8月18日)は次のとおり報じました.
「大阪大学は、附属病院に所属していた医師が肺がんの再発や転移に関する論文で数値の改ざんやねつ造を行っていたとして懲戒解雇相当の処分にしました。一方、論文を参考に行われた臨床研究に関して、患者の健康に重大な影響はなかったとしています。
大阪大学によりますと、国立循環器病研究センターの元室長で、医学部附属病院に所属していた○○医師は、2010年から3年前にかけて、肺がんの手術の際に特定の薬剤を投与すると術後の再発や転移を抑える効果があるという内容の論文など、複数の論文を科学雑誌に掲載しました。
その後、論文にねつ造や改ざんがあるとの指摘を受け、大学などが調査した結果、5つの論文でカルテにない数値を用いてグラフを作成するなどのねつ造や改ざんがあったと認定しました。
その上で、医師がすでに退職しているため懲戒解雇相当の処分にしました。
調査に対し、医師は「ミスで不正は行っていない」と説明したということです。
一方、大学病院では、不正があった論文のひとつを参考に、3年前まで臨床研究が行われ、160人の患者に薬剤が投与されていましたが、もともと人体に存在している物質で心臓病の治療薬としても広く使われていて、患者の健康に重大な影響はなかったとしています。
大阪大学医学部附属病院と国立循環器病研究センターは「このような事態が発生したことは誠に遺憾です。意識の向上にいっそう努めるとともに再発防止に取り組みます」としています。」研究活動上の特定不正行為に関する調査結果について
医学論文の信頼性に影響する重大問題です.
谷直樹
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