手術の際に神経を損傷し運動障害が残った事案で,市が約5300万円支払い,再発防止策を示す(報道)
「岐阜市民病院は21日、脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの合併により脚と腰に痛みがあった40代の男性患者の手術で、誤って神経を傷つけて障害を残したとして、賠償金約5300万円を支払うと発表した。
病院によると昨年8月、男性の背骨や椎間板を削る手術をした際、誤って神経を包む硬膜を削ってしまい、神経を傷つけた。男性は痛みがあったのとは反対の脚に軽い運動障害が残り、リハビリのため2週間長く入院することになった。現在も動かしづらさが残っているという。
手術は男性医師2人が担当した。病院の谷川原徹哉医療安全局長は記者会見し「多大な心痛をおかけしておわびする」と話した。」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
市民病院のサイトによると,椎弓形成術と椎間板ヘルニア後方摘出術を施術した症例で,硬膜と靭帯の癒着が強く狭窄を解除する操作の際に硬膜及び神経を損傷したためそれぞれ修復を行ったが,下肢等に新たな障害が生じた,とのことです.
今後の対応として以下の点をあげています.
「・術前の準備・検討並びに術中(手技)、術後(管理を含む)について何れも慎重に行うことを徹底することについて再度確認した
・狭窄が著明である場合や、癒着が高度である場合に行う神経機能が良好であることをモニターする「脊髄モニタリング」、「顕微鏡使用」、位圖を確認する「ナビゲーションの使用」について。併用を含む使用の拡大を視野に入れ適切に使用することを再度確認した
・「説明と同意」患者さんに説明する内容の見直しを行った
・「神経を損傷する場合があること」との記述を加えることで説明不足となる事態を防ぐように改めました。
・医師育成カリキュラムの見直しを行った
・座学の開催や別施設の医師の手技見学、模型などを使用した実技トレーニングへの配慮などを積極的に行うこととしました。」
このように,医療事故の再発防止のために具体的な方策を示しています.
谷直樹
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