弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

証人買収罪

「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」第七条の二に証人等買収の罪が定められています.

「第七条の二 次に掲げる罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し、証言をしないこと、若しくは虚偽の証言をすること、又は証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造すること、若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用することの報酬として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪(次号に掲げる罪を除く。)
二 別表第一に掲げる罪
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われた場合、又は同項各号に掲げる罪が第三条第二項に規定する目的で犯された場合において、前項の罪を犯した者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」


同法第一条に,「この法律は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることに鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を実施するため、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例等について定めることを目的とする。」とあるように,「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」をうけて,組織犯罪に対するものとして設けられたものです.
証人買収罪は,証人威迫罪や偽証罪・罪証隠滅罪の教唆犯で足り,新設に反対する意見もありました.
今まで用いられたことがありませんでした.
証人買収罪も,立法時の趣旨を超えて用いられることになるのでしょうか.
カジノを含む統合型リゾート(IR)関連事件がどのようになるか,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2020-08-22 07:31 | 司法