《黒き猫》と《落葉》

目白台の永青文庫で，「財団設立70周年記念 永青文庫名品展　―没後50年“美術の殿様”細川護立コレクション―」が開かれています．
「前期　9月12日（土）～10月11日（日）」と「後期　10月13日（火）～11月8日（日）」で展示替があります．
前期には，菱田春草氏の《黒き猫》（1910年）が，後期には，同氏の《落葉》（1909年）が，それぞれ展示されます．
《黒き猫》は，柏の幹・葉と猫の対比と調和が素晴らしい作品です．凜とした黒猫は，近所の猫がモデルだそうです．

《落葉》は，樹木と落葉が精緻に描かれていて，それ以外の地面などは敢えて描いていません．白無地の上の落葉は幻想的で，その美しさは比べるものがありません．近景の落ち葉は濃く明瞭に，遠景の落ち葉は薄くぼんやりと描かれています．深山の樹木のようにみえますが，代々木あたりの雑木林がモデルだそうです．


谷直樹

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