弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

長野県弁護士会,検察庁法の一部改正廃案法案と同趣旨の法案を再提出することに強く反対するとともに違法な閣議決定の撤回を強く求める会長声明

長野県弁護士会は,2020年10月14日,「検察庁法の一部改正廃案法案と同趣旨の法案を再提出することに強く反対するとともに違法な閣議決定の撤回を強く求める会長声明」を発表しました.

「1 検察庁法の一部改正法案(以下,「廃案法案」という。)が,第201回通常国会に提出され,国民世論からの強い批判,反対を受け,廃案となった。
 廃案法案については,国民世論はもとより,日本弁護士連合会,全国52のすべての単位弁護士会による反対の意見表明がなされ,また,検察OBからも反対意見が寄せられたところであり,廃案法案の重大な問題性に鑑みれば,廃案は当然のことである。

2 しかしながら,報道によれば,新政府は,廃案法案について,再提出に向けて検討したいとして,2021年1月招集の通常国会に再提出する予定で調整を進めているとのことである。
 現時点では,いかなる法案が再提出されるかの詳細は不明であるものの,当会の2020年4月13日付及び同年5月20日付各会長声明において指摘したとおり,廃案法案のうち,内閣ないし法務大臣の裁量により役職延長や勤務延長がなされることを可能とする「特例措置」については,以下のとおり,準司法官たる検察官の独立性,公正性を根底から揺るがし,国民の信頼を損ない,憲法の基本原理である権力分立を損なう危険を招来するものである。
 また,政治権力を憲法で拘束する立憲主義を骨抜きにする違憲の疑いすらある法案である。

3 検察官は,公益の代表者として,強大な捜査権限及び公訴提起権を独占し,起訴,不起訴の裁量権を有している。また,検察官には,心身の故障その他の事由がある場合に,検察官適格審査会の議決を経るなどの手続を経ない限りは罷免されないという身分保障がなされている。
 これは,検察官が,準司法官として,政治権力による犯罪を含むいかなる犯罪についても,厳正中立の立場から,捜査権,公訴権を行使することを可能とするためであり,憲法の基本原理である権力分立に基づくものである。
 廃案法案のような,幹部検察官の人事について,政治権力による恣意的な介入が許されうる制度を設けることは,上記のような検察官の権限行使を歪め,「いかなる者も法に服する」という法治国家の基本的な原理を根底から突き崩す危険を招くものであり,許されない。

4 また,廃案法案及びこれの延長線上にある再提出予定法案の問題性とは別に,2020年1月31日付の東京高等検察庁検事長の定年を延長する閣議決定は,当会の同年4月14日付会長声明において指摘したとおり,検察官に定年延長は一切ないとする公権的解釈に反し,解釈の範囲を逸脱した違法,無効なものであることに変わりはない。

5 当会は,廃案法案と同趣旨の法案の再提出に強く反対するとともに,検察官定年延長の閣議決定の撤回を求める。
 また,当会は,引き続き国民,学識者,マス・メディア等に対し,この問題の重大性,刑事司法の公正に与える危険性に対する問題提起を継続し,ともに議論していく所存である。」




谷直樹

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by medical-law | 2020-10-20 00:10 | 弁護士会