弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

広島地裁令和2年12月22日判決,静脈の根元を切り離した医師の過失行為により大量出血が生じ後に死亡に至ったと認定(報道)

読売新聞「手術中に大量出血し1年後に死亡、医療ミス認め病院側に8200万円支払い命令」(2020/12/22)は次のとおり報じました.
 
「広島市立安佐市民病院で2015年、自営業男性(当時48歳)が手術中に大量出血して意識不明となり、約1年後に死亡したのは医療ミスが原因として、遺族4人が病院を運営する市立病院機構を相手取り、計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、広島地裁であった。谷村武則裁判長は医療ミスを認め、計約8200万円を支払うよう病院側に命じた。病院側は控訴する方針。

 判決によると、男性は重症筋無力症と診断され、15年11月に胸腺を摘出する内視鏡手術を受けたが、執刀医が誤って静脈を傷つけて出血、16年10月に死亡した。谷村裁判長は「静脈の根元を切り離した医師の過失行為により大量出血が生じ、後に死亡に至った」と認定した。

 同病院の土手慶五院長は「判決に驚いている。医療行為は適切だったと考えている」とコメントした。」

NHK「地裁 安佐市民病院側に賠償命令」(2020年12月22日)は,次のとおり報じました. 
「5年前、広島市立安佐市民病院で胸の手術を受けた48歳の男性が死亡したのは、適切に手術が行われなかったのが原因だと遺族が訴えた裁判で、広島地方裁判所は病院に過失があったと判断し、4人の遺族にあわせて8000万円余りの賠償を支払うよう命じました。

平成27年11月、広島市立安佐市民病院で胸の手術を受けた男性は、手術中の大量出血で低酸素脳症を発症し意識が回復しないまま、翌年に48歳で死亡しました。
男性の遺族は、手術を担当した病院の医師が血管の位置を十分確認せずに切断したことが死亡につながったとして、病院を運営する広島市立病院機構に対し、1億円余りの賠償を求めていました。
22日の判決で広島地方裁判所の谷村武則裁判長は、「当時の診療記録の記載では血管の存在をしっかりと確認しないまま血管の周囲の組織ごと切り離したことが伺え、医師が注意義務を怠った過失がある」と指摘して病院の過失を認めました。
そのうえで、4人の遺族にあわせて8200万円余りの賠償を支払うよう命じました。
判決について遺族の弁護士は、「概ね主張が認められた正しい判決だ」と話しています。
一方、広島市立安佐市民病院の土手慶五病院長は、「判決を聞いて非常に驚き、控訴することを考えています。医療行為は適切であることを今後の訴訟で明らかにしていきます」とコメントしています。」



上記報道の件は私が担当したものではりません.
重症筋無力症の事案ではありますが,手術中の大量出血で死亡は,医療裁判になりやすいので,裁判例は参考になります.
谷直樹

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by medical-law | 2020-12-23 07:42 | 医療事故・医療裁判