とどめおきて 誰をあはれと 思ふらむ 子はまさるらむ 子はまさりけり
小式部内侍の母和泉式部は次の和歌を詠みました.
とどめおきて 誰をあはれと 思ふらむ 子はまさるらむ 子はまさりけり(後拾遺集)
母と子を残して亡くなった娘はどちらに心残りがあったのだろうか,子のほうでしょうね,私も子を愛おしいと思いますから,というような意味です.
それから1000年近くになる今でも出産時の母体死亡は年間40~50例あります.その中には小式部内侍の時代にはなかった,陣痛促進剤による子宮破裂,無痛分娩などの医療行為に関連する母体死亡も含まれています.
日本産婦人科医会妊産婦死亡症例検討評価委員会は,毎年提言を行っています.
無痛分娩に関しては,2016年に「無痛分娩を提供する施設では、機械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整える」と提言してます.
2019年に「硬膜外麻酔による無痛分娩を受ける産婦では、高位脊髄くも膜下麻酔による呼吸抑制が起こりうるため、試験注入と少量分割注入とにより予防に努め、呼吸抑制が起こった場合でも対応できるように準備しておく」と提言しています.
産科医が提言に従うことにより少しでも母体死亡の件数が減ることを願います.
谷直樹
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