神戸地裁令和3年3月23日判決,術後出血による脳梗塞事案で約6660万円の市立病院に支払いを命じる(報道)
「伊丹市立伊丹病院(兵庫県伊丹市昆陽池1)で受けた手術後に脳梗塞を発症し、障害が残ったとして、伊丹市の60代女性が病院を経営する同市に約1億2500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、神戸地裁であり、小池明善裁判長は同市に約6660万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2013年6月、同病院で受けた子宮摘出手術の後、腹腔内出血でショック状態になった。同病院で再手術を受けたが、脳梗塞を発症し、記憶力や注意力が低下。同年10月に高次脳機能障害と診断された。
小池裁判長は判決で、脳梗塞が手術後の出血によるものと認定。「腹部コンピューター断層撮影(CT)検査や輸血の準備などをしておけば回避できた」として、病院側に過失があったと指摘した。
同病院は「判決を精査し、対応を検討する」としている。」
NHK「医師の注意義務違反で伊丹市に賠償命令 神戸地裁」(2021年3月23日)は次のとおり報じました.
「23日の判決で、神戸地方裁判所の小池明善 裁判長は、「医師らは内出血が生じていることや、その状況が悪化していることを見逃し、CT検査の実施や輸血の準備をしていなかった。注意義務を尽くしていれば、後遺症の原因となった脳梗塞を防ぐことができた」などとして、伊丹市に対し、6600万円余りの支払いを命じました。」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
術後管理のミスは,外科医療過誤事件のなかで多い類型の1つです.
一般に,手術の腹腔内出血は出血自体にミスがあるか止血にミスがあることが多く,出血徴候に気付かないとショック状態になってはじめて気がつくことになります.上記判決はCT検査の遅れで発見が遅れたことと,輸血が遅れたことで高次機能障害の結果が発生したと認定したものと思われます.請求金額より認容金額がだいぶ少ないですが,高次機能障害の程度はいろいろで,立証された範囲で賠償金額が認められたものと思われます.
谷直樹
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