弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都地判令和3年3月26日,無痛分娩医療過誤事件で京都府の産婦人科医院に約3億円の損害賠償を命じる(報道)

京都新聞「無痛分娩施術ミス、3億円賠償命令 妻と長女に重い障害 京都地裁判決、医院側に」(2021年3月26日)は次のとおり報じました.

「麻酔で出産の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)の施術ミスで、妻(44)と長女(享年6歳)が重い障害を負ったとして、大学教授の男性(58)らが京都府○○市の産婦人科医院「○○産婦人科」を相手取り計約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は医院側に約3億円の賠償を命じた。
 訴状によると2012年、妻は同医院で無痛分娩を希望し、脊髄を保護する硬膜の外側に細い管(カテーテル)を差し込み麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。その後に容体が急変し、救急搬送された病院で帝王切開して出産したが、長女は低酸素性虚血性脳症となり、妻は心肺停止後脳症になったとしている。
 原告側は、麻酔の際にカテーテルが硬膜を破って全脊椎麻酔になった可能性があり、麻酔薬も通常の2・5~4倍の量を投与された過失があると主張。医院側は当初、請求棄却を求めて争う姿勢をみせたが、原告側によると、訴訟の途中から過失を認めたという。
 ○○産婦人科での無痛分娩を巡っては、同様の硬膜外麻酔のミスなどによって母子が重度の後遺症を負ったとして、ほかに2件の損害賠償訴訟が起こされ、1件は18年に大阪高裁で、1件は19年に京都地裁で和解が成立している。」


朝日新聞「無痛分娩で重い障害、医師に3億円の賠償命令 京都地裁」(2021年3月26日) は次のとおり報じました.

「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)で適切な処置をしなかったため、母子が重い障害を負ったとして、京都市の夫らが京都府○○市の「○○産婦人科」(休止)に計約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は医院側の過失を認定し、介護費用など計約3億円の賠償を命じた。
 判決によると、ロシア国籍のエブセエバ・エレナさん(44)は2012年11月、脊髄(せきずい)を保護する硬膜の外側に細い管を入れて麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた後、心肺停止状態になり、重い障害を負った。帝王切開で生まれたみゆきちゃんも重い脳性まひになり、6歳で亡くなった。
 医院側は過失を認め、損害額が主な争点だった。判決はエレナさんに24時間態勢で介護していることなどから介護費を約1億2900万円と認定し、みゆきちゃんが将来得られたはずの「逸失利益」を約2700万円、慰謝料を3200万円などとし、年金などを差し引いて算出した。
 エレナさんの無痛分娩を巡って2017年に男性院長が業務上過失傷害容疑で書類送検されたが、京都地検は過失を認定する証拠が得られなかったとして不起訴(嫌疑不十分)とした。(高嶋将之、白見はる菜)」


共同通信「無痛分娩で障害、賠償命令 京都の産科医院に3億円」(2021年3月26日)は次のとおり報じました.

「無痛分娩で出産しようとした際、医師のミスで妊婦だったロシア人女性と生まれた長女(2018年に死亡)に重い障害が残ったなどとして、この女性ら3人が京都府○○市の医院「○○産婦人科」に約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(増森珠美裁判長)は26日、約3億円の支払いを命じた。
判決などによると、女性はエブセエバ・エレナさん(44)で12年11月、無痛分娩のため腰椎麻酔を受けた後に心肺停止状態となり、意思疎通ができない寝たきりの状態になった。別の病院に搬送され帝王切開で生まれた長女も新生児低酸素性虚血性脳症で寝たきりとなり、6歳で死亡した。
原告側は、院長の男性医師が注射針を誤ってくも膜下腔まで到達させ、分割投入すべき麻酔薬を一度に注入するなどの注意義務違反があったと主張。医院側は訴訟で過失を争わなかった。
判決は、エレナさんの将来の介護費を約1億2900万円、長女の逸失利益を約2700万円などと認定。他に原告となったエレナさんの夫(58)と母(66)の賠償請求権は認めなかった。
大学教授の夫は判決後に会見し「適切に救命していたら元気な状態で家族そろって生活できたはず。被告が結果をどう認識して対応するか見守りたい」と話した。
京都府警は業務上過失傷害の疑いで男性医師を書類送検したが、京都地検は17年10月に嫌疑不十分で不起訴とした。
○○産婦人科を巡っては、無痛分娩や帝王切開で母親や子どもが重度の障害を負ったとして損害賠償を求める訴訟が起こされ、18年に大阪高裁で、19年に京都地裁で和解が成立している。」



関西テレビ「無痛分娩の麻酔ミスで脳に重い障害…病院に3億円の賠償命令 「適切な救命措置をしていたら」(2021年3月26日) は次のとおり報じました.
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「無痛分娩の医療ミスをめぐって、病院に対し3億円の賠償命令です。
エブセエバ・エレナさん(44)は9年前、無痛分娩の麻酔のミスで脳に重い障害を負ったとして、京都府○○市の「○○産婦人科」に損害賠償を求める訴えを起こしています。
重い障害を負った娘のみゆきちゃんは、3年前に亡くなりました。
病院側は、裁判の終盤でミスについて争わない姿勢に転じていて、26日の判決で、京都地方裁判所の増森珠美裁判長は、エレナさんと夫に合わせておよそ3億円を支払うよう病院側に命じました。

【エレナさんの夫】
「適切な救命措置をしていたら、妻も娘も、元気な状態で家族そろって生活できていたはず」
一方で、夫とともに介護を行うエレナさんの母親への賠償などが認められておらず、エレナさん側は今後、控訴するかどうか検討するとしています。」


ABCテレビ「無痛分べんの麻酔ミスで母子に重い障害 産婦人科医院に3億円賠償の判決」(2021年3月26日)は次のとおり報じました.

「無痛分べんの麻酔のミスで母子が重い障害を負ったとして家族が起こした裁判で、産婦人科医院に賠償が命じられました。
ロシア国籍のエブセエバ・エレナさん(44)は2012年、○○市の「○○産婦人科」で出産する際、無痛分べんのための麻酔で重い障害が残り、長女のみゆきちゃんは2018年に死亡しました。麻酔薬を少量ずつ投与しなかったなどとして家族は、医院に対し約6億4000万円の損害賠償を求める訴えを起こしていました。京都地裁は26日医院側に、エレナさんの障害やみゆきちゃんの死亡などについて約3億円の賠償を命じました。エレナさんの夫らへの賠償は認められませんでした。(エレナさんの夫)「どれだけ大変で不安と戦いながら毎日介護しているかをみてもらいたかった」。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
過失を否認し争っている事件もあるなかで,過失を認めているだけまだ誠実な対応と思います.
増森裁判長は以前大阪の医療集中部で医療事件を多数担当されていたこともある裁判官です.近親者固有の慰謝料を認めなかったのは本人の慰謝料金額で評価下との判断でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2021-03-27 01:31 | 無痛分娩事故