弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院が吸収性縫合糸を使うべきところ,非吸収性縫合糸を使用していた過誤を発表

秋田大学医学部附属病院は,令和3年4月7日,「秋田大学医学部附属病院において発生した医療過誤と再発防止について」を発表しました.

「【経緯】
患者様は,本県在住の5歳未満の女児で,昨年に腎疾患のため本院に入院され,入院翌日に手術が施行されました。全身麻酔下で逆行性腎盂尿管造影を施行し,開放右腎盂形成術を行いました。術中に腎盂-尿管吻合を行い,閉創し,手術は終了いたしました。手術後,診療科内における手術報告時に,使用した縫合糸の確認を行ったところ,吸収性縫合糸を使うべきところ,非吸収性縫合糸を使用していたことが判明いたしました。直ちに患者様のご家族に対し,非吸収糸を使用したこと,及び吸収糸を用いて再縫合を行う必要があることを説明し,再手術の同意をいただきました。翌日未明,腎盂-尿管の非吸収糸を除去したのち,吸収糸を用いて再縫合を行い,患者様の術後経過は良好で同月に退院となりました。

【原因】
使用を予定していた縫合糸について術前の確認を医師が怠っていたこと,術中に使用した縫合糸が非吸収糸であることに気が付かなかったこと,中央手術部における物品保管場所に限りがあり,縫合糸が一箇所に保管することができず複数箇所に保管されていたため,手術時間内に使用すべき縫合糸を見つけることができなかったことが原因と考えております。

【再発防止策】
今回の事故を踏まえ,以下の再発防止策を講じます。
①手術に使用する物品の事前確認当該診療科の主要手術に使用する消耗物品はリストを作成し,予め中央手術部へ提出するとともに,術中に使用する可能性のある物品の準備を術前に中央手術部へ連絡する。もし院内に在庫がない場合,代替品の使用または使用する物品の発注を行う。また,使用する予定の物品を複数の医師,看護師で術直前にも確認する。
②縫合糸の一元化管理中央手術部で取り扱っている縫合を一覧表にまとめ一元化し,すべてのスタッフが検索しやすいようにする。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
吸収性縫合糸を使うべきところ,非吸収性縫合糸を使用するという過誤が起きた原因を分析し,再発防止策を公表しています.始発防止を期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2021-04-08 10:57 | 医療事故・医療裁判