弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪高判令和3年4月8日,受刑者に診療情報開示を認める(報道)

NHK「診療情報は受刑者本人にも開示すべき”初判断 大阪高裁」(2021年4月8日)は次のとおり報じました.

「刑務所にある医療施設で、治療を受けた受刑者のカルテなどの診療情報の開示を本人にも認めていない、いまの運用について大阪高等裁判所は、「一般国民との間で合理的に説明しにくい不平等が生じる」として原則、開示すべきだとする初めての判断を示しました。

大阪矯正管区によりますと、刑務所内にある医療施設で治療を受けた受刑者のカルテなどの診療情報は、法律で開示できない「刑の執行に関する情報」に含まれるとして扱われ、本人が開示を求めても認めない運用が行われています。
これに対し、大阪刑務所で腎臓病の治療を受けている男性受刑者が裁判で開示を求めていました。
この裁判の2審の判決で、大阪高等裁判所の大島眞一 裁判長は、「医療現場では、患者本人に診療情報を開示する必要性や重要性は浸透している。受刑者だけ認めなければ一般国民との間で合理的に説明しにくい不平等が生じる」と述べ、治療を受けた受刑者本人には原則、開示すべきだとする判断を示しました。
原告の代理人の遠山大輔 弁護士によりますと、開示を認める司法判断は初めてだということで、「裁判では刑務所の中と外で違いが大きいのはおかしいと指摘した。きわめて常識的な結論だ」と話しています。
一方、大阪矯正管区は、「判決内容を精査し、関係機関と協議したうえで、適切な対応を考えたい」とコメントしています。」


時事通信「受刑者のカルテ不開示取り消し 組長の請求認める―大阪高裁」(2021年4月8日)は次のとおり報じました.

「服役中に受けた診療のカルテを不開示とされたのは不当として、大阪刑務所に服役中の暴力団組長が開示を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は8日、請求を棄却した一審判決を見直し、国の不開示決定を取り消す判決を言い渡した。
 原告側の代理人弁護士によると、受刑者が医療情報を請求した訴訟で、開示を認めた判決は初めてという。
 大島真一裁判長は「診療情報は生命と健康に直結する個人情報であり、合理的な理由なしに制限されるべきではない」との判断を示した。一審大阪地裁は、服役中の医療情報は刑の執行に関わる個人情報に当たり、開示の必要はないとしていた。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
大島眞一 裁判長は元大阪地裁医療集中部にいた裁判官で,診療情報の重要性をよく理解していると思いました.

谷直樹

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by medical-law | 2021-04-09 09:22 | 医療