上手に思い出す事は非常に難しい
「この世は無常とは決して仏説という様なものではあるまい。」
「常なるものを見失ったからである。」
小林秀雄氏の『無常といふ事』の言葉です.
小林氏は,すべての物事は必ず移り変わるという仏教の「無常」を否定し,死者,過去(歴史)は完成しているので「常なるもの」で,「常なるもの」(普遍的なもの)を拠り所とします.とします.
日本の仏像,建築,絵画,書,茶器,工芸品,和歌,文学,能,狂言等には,清々しく柔らかで穏やかな精神美が一貫してあります.しかし,「もののあはれ」の背景には,非業の死を遂げた人々がいます.日本文化は泥沼に咲く蓮のようなものです.
小林氏の言葉には時代背景がありますが,上手に思い出す(忘れる)ことの難しさに変わりはありません.
PTSDは,戦場より家庭内で起きています.フラッシュバックはPTSDの最もよくみられる症状です.フラッシュバック性の記憶は時間とともに消えるのではなくより鮮明になることが知られています.フラッシュバックがあったらPTSDとして薬物治療が必要です.
人は傷つきやすく,上手に思い出す(忘れる)事は非常に難しいので,日常が辛いものとなったときは心的外傷が深くなる前にできるだけ早期に逃げ出すことです.
谷直樹
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