弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

札幌弁護士会,「法曹人口のあり方についての検証に関する提言書」

札幌弁護士会は,2021(令和3)年3月31日,「法曹人口のあり方についての検証に関する提言書」を発表しました.
東京圏,大阪圏などの大都市への弁護士登録集中が顕著で,直近10年間(2009年→2019年)で,弁護士数が最も増加したのは,東京三会の6563人である,東京などの需要が多く地方に人材が流れていかない状態となっているのではないか,という声も紹介していますが,「目先の未登録者数や就職状況に捉われるのではなく、景気動向等の予測困難な事情により弁護士の経済的基盤が損なわれる可能性があることも考慮しておくべきであると思われる。」と指摘しています.
結論として,次のとおり述べています.

「札幌弁護士会では、2011年11月29日開催の臨時総会決議において、司法試験合格者数について年間1,000人程度を目標に段階的に減少させその実施状況等を検証しつつ、さらに適正な合格者数を検討する等の決議を採択した。
しかし、以上の諸検討を踏まえると、上記総会決議から約10年が経過した現時点において、法曹の需要に関する社会的基盤等の変化には顕著な改善が認められず、司法修習生の就職状況には改善が見られるもののOJTを含めた法曹養成制度全般の改善は道半ばであって弁護士人口の急増に伴う「ひずみ」は改善されていないこと、当会の取り組んできた主な課題と到達点についても司法基盤整備等も一定の成果が認められるものの未だ不十分であると考えざるを得ない。
よって、当本部としては「年間1000人程度を目標に司法試験合格者数を段階的に減少させ、その実施状況等を検証しつつ、さらに適正な合格者数を検討」すべきであるとした2011年臨時総会決議の結論を変更させるべき環境にはないとの結論に至った。

なお、今度の法曹人口の推移について、2012年3月15日の日弁連法曹人口政策に関する提言書が述べる司法試験合格者数1500人が維持されることを前提とすると、2020年から2027年の間に法曹人口は5万人規模に、2047年には7万人に達し、2059年頃には6万4000人で均衡する58。なお、弁護士人口だけで見ても、2032年までには5万人に達し、2062年頃には5万7000人で均衡する。

また、当会が上記決議において提言した司法試験合格者数1000人が直ちに実現されたとしても、2028年頃に法曹人口は5万人に達するものと予測されており59、増員のペースは緩和されるものの、法曹人口及び弁護士人口の増加は今後も継続することに変わりはない。一旦、司法試験合格者数を増加させるとその後43年間はその状態が維持されることになり、その後に司法試験合格者数を減員させたとしてもその減員の効果が表れるのは40年以上も先ということになる。

今後、日本は少子高齢化と人口減少を迎えることが確実視されている中で、私たちがあるべき法曹人口について40年以上先を見越した検討を行うことは、未来に対する責任でもある。この点も踏まえたうえで、今後の司法試験合格者数を考える必要があろう。」


谷直樹

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by medical-law | 2021-05-12 02:01 | 弁護士会