弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

《交響曲第40番 ト短調 K. 550》

「もう二十年も昔の事を、どういう風に思い出したらよいかわからないのであるが、僕の乱脈な放浪時代の或る冬の夜、大阪の道頓堀をうろついていた時、突然、このト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴ったのである。僕がその時、何を考えていたか忘れた。いずれ人生だとか文学だとか絶望だとか孤独だとか、そういう自分でもよく意味のわからぬやくざな言葉で頭を一杯にして、犬の様にうろついていたのだろう。兎も角、それは、自分で想像してみたとはどうしても思えなかった。街の雑沓の中を歩く、静まり返った僕の頭の中で、誰かがはっきりと演奏した様に鳴った。僕は、脳味噌に手術を受けたように驚き、感動で慄えた。百貨店に駆け込み、レコオドを聞いたが、もはや感動は還って来なかった。自分のこんな病的な感覚に意味があるなどと言うのではない。モオツァルトの事を書こうとして、彼に関する自分の一番痛切な経験が、自ら思い出されたに過ぎないのであるが、一体、今、自分は、ト短調シンフォニイを、その頃よりよく理解しているのだろうか、という考えは、無意味とは思えないのである。」

小林秀雄氏の『モオツァルト』の有名な一節です.
《交響曲第40番 ト短調 K. 550》は多くの人に感動を与えてきた名曲中の名曲です.もちろん私も大好きです.
涙が追いつけないほどの疾走する悲しみを表現しようとする演奏が好きです.

ジョルディ・サヴァール指揮ル・コンセール・デ・ナシオン盤 2017年録音


鈴木秀美指揮オーケストラ・リベラ・クラシカ盤 2017年録音


リチャード・トネッティ指揮オーストラリア室内管弦楽団盤


マルク・ミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊盤 2005年録音 


トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート盤 1994年録音

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イギリス・バロック管弦楽団盤 1989年録音

谷直樹

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by medical-law | 2021-07-25 01:27 | 趣味