弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

神戸地裁令和3年9月16日判決,鎮静剤の投与後低酸素脳症で約1億3800万円の支払いを命じる(報道)

神戸新聞「薬投与を巡り過失 神戸・中央市民病院に1億3800万円賠償命令 地裁」(2021年9月17日)は次のとおり報じました.

「神戸市立医療センター中央市民病院で2013年、患者の女性(55)が手術後に植物状態になったのは医師らの不適切な対応が原因だとして、女性と夫が病院側に約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で神戸地裁(斎藤聡裁判長)は16日、鎮静剤の投与を巡り過失があったとして約1億3800万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性=明石市=は13年1月、内視鏡を使って食道静脈瘤(りゅう)を消失させる手術を受けた。鎮静剤の投与後、血中の酸素飽和度が低下し体の動きが激しくなり、鎮静剤を追加投与したところ一時心肺停止状態となり低酸素脳症で寝たきりとなった。」


NHK「手術で寝たきり 神戸市民病院機構に1億3800万円賠償命令」(2021年9月16日)は次のとおり報じました.

「神戸市の市立中央市民病院で、手術を受けていた女性が低酸素状態となり、その後、寝たきりになったのは、医師が適切な処置を行わなかったためだと訴えた裁判で、神戸地方裁判所は、女性の訴えを認め病院を運営する機構に1億3800万円余りの賠償を命じました。
訴えていたのは県内の50代の女性で、平成25年に神戸市の市立医療センター中央市民病院で食道の静脈りゅうの手術を受けていたところ、呼吸が弱くなり、その後、低酸素状態によって寝たきりになりました。
このため、女性は、医師が手術を中止するなど適切な処置を行わなかったとして病院を運営する神戸市民病院機構におよそ1億5000万円の賠償を求めていました。
16日の判決で神戸地方裁判所の齋藤聡裁判長は「手術台の上で女性の体の動きが激しくなり、医師はそれを抑制しようと鎮静剤を投与しているが、ゆっくり行うべきだった。また、急を要する手術というわけではないので、手術を中止するべき注意義務があったと認められる」と指摘しました。
機構に対して寝たきりになった女性の介護費用や慰謝料など1億3800万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
神戸市民病院機構は、「判決文が届いていないので、コメントを差し控えます」と話しています。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
血中の酸素飽和度が低下しているのになぜ鎮静剤を追加投与したのでしょうか.
判例雑誌に掲載されたら,判決文を読みたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2021-09-18 00:27 | 医療事故・医療裁判