市民病院でドリルで骨を切削中に硬膜を損傷し露出した神経を切断する医療事故(報道)
「○○市民病院で昨年1月、脳神経外科の40代男性医師による手術を受けた患者が医師のミスにより、重度の後遺障害が残ったことが明らかになった。
被害患者と家族は医師と市の不法行為と債務不履行責任を問うための民事訴訟を8月31日までに提起。同病院によると、この他にも同じ医師が関わった手術7件で医療事故が発生しており、中には手術後に死亡したものも含まれる。病院側は訴えがあった患者については医療過誤を認め、他7件については「手術が直接的原因になったとはいえない」(医療課)としている。
訴状によると、医師は重い腰痛があった女性患者(当時74歳)に対し、腰椎の一部を切除する手術を執刀。ドリルで骨を切削中に硬膜を損傷し、露出した神経を切断した。女性は手術後、両足に重度の麻痺が生じるなどして自立での起立や歩行が不可能な状態となり、膀胱と直腸にも重い障害が生じた上、腰から足にかけて強い痛みとしびれが発生するようになったという。
この医師は2019年7月に脳神経外科の常勤医師として同病院が採用。着任以降、関わった手術で予後が良好とはいえないケースが相次ぎ、医療事故報告書が提出された8件について外部有識者による検証の結果、女性患者に対する手術で医療過誤が認定された。同病院が7段階に区分する医療事故レベルで2番目に重大な「レベル4」(事故による障害が一生続く場合)に該当するという。
医師は昨年3月に病院側から手術の執刀、侵襲的検査を禁止される処分を受け、先月末で同病院を退職した。今月から大阪市内の医療機関で救急医療センター医長として勤務している。
患者の家族は「病院からは過失を認めた上で謝罪がありましたが、医師の反省が感じられないこと、医療従事者の方からの『示談せずに公にしてほしい』という要望等もあり、示談の提案は受け入れることが出来なかった」と悩んだ末の提訴だった胸中を明かし、「なぜ、もっと早い段階で医師の手術を止めてくれなかったのか」と悔しさをにじませた。
同病院の医療安全対策マニュアルには、医療過誤によって死亡または障害が発生した場合は疑い例も含めて患者と家族に説明した上ですみやかに警察に届ける取り決めとなっている。患者と家族への説明や警察への届け出を行ったかどうかについて、同病院は赤穂民報の取材に、「訴訟案件となっているため、この事案に関わることは答えられない」とし、「訴訟対応については弁護士と協議中。患者に対しては今後も必要な医療行為を行い、最善を尽くすことに変わりはない」とした。」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
ドリルで骨を切削中に硬膜を損傷し露出した神経を切断し,その結果両足に重度の麻痺が生じるなどした事案は,過失と因果関係があります.
しかし,悪い結果が発生しても過失が認定されず避けられない合併症とされることがあります.下手というだけでは過失は認定されません.
また過誤と結果との間の因果関係が立証されないと医療過誤として責任を追及できません.
谷直樹
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