医療事故の定義

医療法第6条の10の第1文は,次のとおり医療事故調査制度の対象ととなる医療事故を定義しています.
「病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。」
つまり,
①当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産
②当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたもの
が重なるものが医療事故となります.
「医療に起因し」のところで議論があったのは,転倒・転落,誤嚥等です.
公益財団法人日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業では,転倒・転落,誤嚥も医療事故と扱っています.
転倒・転落,誤嚥等も医療事故調査の対象となっています.
一般社団法人日本医療安全調査機構は,医療事故の再発防止に向けた提言第9号「入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析」を発表しています.
転倒・転落事故を東京地方裁判所に提訴したとき,いったん医療集中部ではない部に繋属し,その部から医療集中部に回付されたことがあります.
医療施設の設備・システムに原因があるものを医療事故から除外する合理的理由はないように思います.
医療事故は,医療者の医療行為や医療施設の設備・システムに原因を発したすべての人身事故と広く考えるのが適切でしょう.
その医療事故のうち,過失によって起きたものが「医療過誤」です.
谷直樹
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