弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院で2014年にエコー検査の異常を指摘する報告書を主治医が見ること無く2021年に患者が肝細胞癌で死亡(報道)

名古屋テレビ「カルテの検査結果見落とし、がんの発見遅れた女性が死亡 名古屋市立大学病院」(2021年10月22日)は次のとおり報じました.

「名古屋市立大学病院で、腹部エコー検査の結果を主治医が確認せず、がんの発見が遅れ、60代の女性が死亡する医療事故があったことがわかりました。

 名古屋市立大学病院によりますと、死亡した60代の女性は、2005年から腎臓の機能低下と脂肪肝の経過観察のため腎臓内科を受診していて、2014年8月に受けたエコー検査で、肝臓に腫瘍のような塊が見られました。
 この検査は、他の医師が代行しましたが、主治医は異常があったと記載された電子カルテなどを十分に確認せず、その後も腫瘍への詳しい検査や診察は行われませんでした。
 女性は、2016年に腫瘍が破裂し、救急搬送され、病院は治療を続けましたが、女性は今年3月に、肝細胞がんのため死亡しました。

 病院はすでに遺族に謝罪し、和解したということです。
 病院はこの医療事故を受けて、「検査結果の確認や引き継ぎに漏れがないよう注意喚起を行った」としています。」


朝日新聞「検査の報告書確認せず 肝細胞がんで女性死亡 名古屋市立大病院」(2021年10月21日)は次のとおり報じました.

「腹部の超音波検査で肝臓に異常な所見があったとする報告書を確認せず、適切な対応を怠り、患者が肝細胞がんで亡くなったと名古屋市立大学病院(名古屋市瑞穂区)が21日、発表した。検査結果を受けて詳細な検査をしていれば、早く治療に入れたという。

 大学病院によると、亡くなったのは名古屋市の60代の女性。2005年から腎臓の機能低下や脂肪肝で腎臓内科を受診していた。女性は14年8月に腹部の超音波検査を受け、結果の報告があった。その日は代理の医師が診察。主治医は9月に診察をしたものの、報告書を確認しなかった。肝臓に直径4センチほどの塊状のものがあったという内容で、主治医はその後も詳しい検査をしなかったという。
 2年後の16年8月、女性が腹部の痛みを訴えて大学病院に救急搬送され、肝細胞がんと診断された。その際、超音波検査の結果が伝えられていなかったことも判明。治療を続けてきたが、女性は今年3月に亡くなったという。
 大学病院によると、代理の医師は報告書の異常所見について電子カルテに記したものの、女性には主治医から伝えるべきだとして説明しなかった。主治医は電子カルテの記載を見落とし、報告書の内容も確認しなかったという。
 大学病院は、報告書を確認して詳しい検査をしていれば、より早く肝細胞がんと診断し、切除などの治療ができたと判断した。

 再発防止策として、検査結果の確認漏れや引き継ぎ漏れがないよう院内で注意喚起したほか、検査結果の報告書ができた時点で検査を依頼した医師にアラートを表示するよう電子カルテシステムを改修したという。(木村俊介)」


CBCテレビ「肝臓に腫瘍」の検査結果を医師が説明せずその後進行した「肝細胞がん」で患者が死亡 名古屋市立大学病院」
(2021年10月21日)は次のとおり報じました.

 「検査で腫瘍が見つかった患者に医師が説明を怠り、その後、患者が進行したがんで死亡していたことが分かりました。

 名古屋市立大学病院によりますと、2014年8月、当時50代の女性患者に行ったエコー検査で、肝臓に「4センチほどの腫瘍」が見つかりました。
 しかし、担当した医師らは女性への検査結果の説明を怠り、2年後、腹痛を訴えた女性が緊急入院した際に、「肝細胞がん」であることが判明。
 女性は治療を続けていましたが、ことし3月に死亡しました。
 病院側は結果が説明されなかった理由について、診察に関わった複数の医師による引き継ぎミスで、十分な確認を怠ったことなどが原因と説明しています。」


毎日新聞「名古屋市立大病院 元主治医、がん疑いの報告確認せず 患者死亡」(2021年10月22日)は次のとおり報じました.

「名古屋市立大病院は21日、2014年に腹部エコー検査の結果、肝がんを疑う異常所見が検査報告書に記載されていたにもかかわらず、主治医が確認しなかったため、2年後に救急搬送されるまでがんの発見が遅れ、患者の60代女性が死亡する医療ミスがあったと発表した。主治医は病院側の調査に、「血液検査の結果は悪くないため、エコー検査の結果を重視せず、確認しなかった。カルテの記述も読み飛ばしていた」などと説明した。退職済みで処分はしないという。
 同病院によると、女性は05年から腎臓機能低下と脂肪肝のため、定期的に受診。14年8月、肝臓と腎臓のエコー検査を受けた。検査報告書には「占拠性病変あり。腫瘍を認める」など、がんを疑う指摘があった。60代の男性主治医は多忙で、当日検査結果を受け取った別の30代の女性医師が異常所見があることをカルテに記載した。
 ところが、主治医は検査結果を確認せず、カルテの記載にも気付かず、詳しい検査が実施されないまま時間が経過。16年8月、女性はがん腫瘍の破裂で救急搬送された。がんはステージ4まで進行しており、同病院で治療を続けたが、21年3月、死亡した。
 病院側は、14年の時点で精密検査をすれば、がんの早期発見につながり、手術による治療も可能だったと判断し、遺族に和解金を支払った。間瀬光人病院長は「確認不足で治療が遅れ、亡くなった。深くおわびする」と謝罪した。【川瀬慎一朗】」


上記報道の件は,私が担当したものではありません.
医師間の連携ミスのために,検査結果の異常が共有されず,早期発見につながらず患者が死亡したのは非常に残念です.
このようなミスは他の病院でも起きており,繰り返し報道されてきました.日本のすべての病院でアラートシステムが導入され,このような事故が起きないことを望みます.

谷直樹

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by medical-law | 2021-10-22 02:10 | 医療事故・医療裁判