弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ベッドに拘束されエコノミークラス症候群を発症して死亡した事案で3500万円余りの賠償を命じた名古屋高等裁判所金沢支部判決が確定(報道)

NHK「精神科病院での身体拘束 死亡男性の両親の勝訴が確定」(10月21日)はつぎのとおり報じました.

「5年前、○○県の精神科の病院に入院していた男性が、ベッドに拘束されエコノミークラス症候群を発症して死亡したことをめぐり、男性の両親が病院に賠償を求めた裁判で、最高裁判所は病院側の上告を退け、賠償を命じた2審の判決が確定しました。

5年前、○○県○○市の精神科の病院、「○○病院」に入院していた○○さん(当時40歳)が、6日間ベッドに拘束されたあと「エコノミークラス症候群」を発症して死亡し、両親は「必要がないのに違法な拘束を続けた」などとして病院を運営する○○法人を相手取り、損害賠償を求めました。
1審の金沢地方裁判所は「拘束以外に手段がないと医師が判断したのは不合理ではない」として、両親の訴えを退けましたが、2審の名古屋高等裁判所金沢支部は去年12月、「拘束を始めた時点では男性は暴れることもなく薬も拒否せずに飲んでいて、拘束が必要な状態ではなかった。医師の判断は早すぎた」と指摘して病院側の責任を認め、3500万円余りの賠償を命じました。
これに対して病院側が上告していましたが、最高裁判所第3小法廷の長嶺安政裁判長は、20日までに退ける決定をし、両親の逆転勝訴が確定しました。

亡くなった○○さんの父親の○○さんはNHKの取材に対し、「長い時間がかかりましたが、亡くなった○○の気持ちがやっとわかってもらえたと、ほっとしています。1審で、遺族の思いを反映してくれない判決が出たときには、争うことを諦めそうになりましたが、このままでは日本の身体拘束の問題は解決されないと思い、訴えを続けてきて本当によかった。病院での拘束は、これを機になくなって欲しい」と話していました。
判決の確定を受け○○市の精神科病院「○○病院」は、「最高裁判所の決定を厳粛に受け止めて、引き続き再発防止に万全を期したい。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに遺族には誠心誠意、対応して参りたい」としています。」


NHK「身体拘束訴訟 賠償確定した死亡男性の両親が心情を語る」(2021年10月22日)は次のとおり報じました.

「○○市の精神科の病院に入院していた男性が、ベッドに長時間拘束されたあとに死亡し、男性の両親が病院に賠償を求めた裁判で、最高裁判所は病院側の上告を退け、賠償を命じた2審の判決が確定しました。
判決の確定を受け22日、男性の両親が会見を開き、心情を語りました。

5年前、○○市の精神科の病院に入院していた○○さん(当時40歳)が、6日間ベッドに拘束されたあと「エコノミークラス症候群」を発症して死亡し、両親は「必要がないのに違法な拘束を続けた」などとして病院側に損害賠償を求めました。
最高裁判所は「拘束の判断は早すぎた」として、両親の逆転勝訴の判決を言い渡した名古屋高等裁判所金沢支部の判断を支持し、病院側の上告を退ける決定をしました。
判決の確定を受け○○さんの両親が金沢市内で会見を開きました。
父親の○○さんは「身体拘束をするような病院に、息子をなぜ入院させてしまったのか、今も自分を責める気持ちです。私たちと同じような思いを抱えている人がほかにもいるのではないか」と話していました。
また、医療機関での患者の拘束をめぐる問題に詳しく、裁判で両親を支援してきた杏林大学の長谷川利夫教授も会見に同席し、「いまだに病院での身体拘束が原因で亡くなっている人がいると報告が来ている。問題が改善されない状況をこの判決を機に改めなくてはならない」と話していました。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
地方裁判所の判決と高等裁判所の判決が真逆となり,最高裁判所が上告を棄却したものです.

谷直樹

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by medical-law | 2021-10-26 06:38 | 医療事故・医療裁判