弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

“医療事故調査制度の見直しを” 遺族らが署名活動

NHK「“医療事故調査制度の見直しを” 遺族らが署名活動」(2021年11月7日)は次のとおり報じました.

「患者の死亡事故が起きた医療機関に報告などを義務づけた「医療事故調査制度」で、年間の報告が320件余りと、6年前の制度開始以降、最少となり、遺族らが制度の見直しを求めて署名活動を行いました。

7日、JR御茶ノ水駅の前で行われた署名活動には、医療事故で家族を亡くした人や支援者など合わせて15人が参加しました。

2015年10月に始まった「医療事故調査制度」は、患者が医療事故で死亡した場合、第三者機関の「日本医療安全調査機構」に報告して原因を調査するようすべての医療機関に義務づけています。

厚生労働省の試算では全国で年間に1300件以上の死亡事故が発生していますが、ことし9月までの1年間に制度に基づいて報告された死亡事故は327件で、過去6年間で最も少なくなりました。

制度の対象は「死亡を予期できなかった」と医療機関が判断した事故に限られていて、遺族らは必要な報告や調査が行われていないケースがあるとみて、遺族の求めがあれば制度を適用して第三者機関などが調査を行うよう求めています。
2歳の娘を医療事故で亡くした宮脇正和さんは「医療事故の報告が少なく、重大な事故が起きても、再発防止につながっていないことに胸が痛む。国や医療界は、医療の安全に役立つよう制度をいかしてほしい」と話していました。」

激しい議論が戦わされて創設された「医療事故調査制度」ですが,この制度の対象となる「医療事故」は、「病院、
診療所、助産所に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」であり、「医療事故」に該当するか否かは医療機関の管理者が判断することになっています.そのため,医療機関の管理者が「医療事故」ではないと判断すればそれだけで制度の対象から外れることになります.
医療機関の管理者が予期しなかった死亡又は死産とは,死亡又は死産が予期されることを本人・家族に「説明」していたもの,死亡又は死産が予期されることを「診療録」に記録していたもの,死亡又は死産が予期されることを医療者への聞き取りなどを行った上で死亡又は死産を予期していたと認められたもののいずれにも該当しないものとされいます.つまり,いずれかに該当すれば「予期していたこと」にはなります. 聞き取りで「予期していた」と言われれば,たとえ結果回避のための検査,治療を怠っていても「医療事故」に該当しない扱いになってしまいます.
この制度を作ったときは,医療機関の管理者が「医療事故」であるか否かを適切に判断するであろうと考えられていたのですが,実際にはそうではありませんでした.
医療事故調査制度の見直しが必要です.

谷直樹

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by medical-law | 2021-11-08 00:25 | 医療事故・医療裁判