弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的勧奨再開に関する抗議声明

HPVワクチン薬害訴訟全国原告団とHPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は,2021年11月12日, 「HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的勧奨再開に関する抗議声明」を発表しました.

「本日、国の検討部会は、2013年6月から続けられてきた、HPVワクチンの積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるとしました。
深刻な被害実態と科学的知見を無視したきわめて不当な結論と言わざるを得ません
積極的勧奨中止の理由となったHPVワクチンの副反応は、頭痛、全身の疼痛、知覚過敏、脱力、不随意運動、歩行障害、激しい倦怠感、睡眠障害、重い月経障害、記憶障害、学習障害など、多様な症状が一人の患者に重層的にあらわれる特徴をもった重篤なものです。その深刻さは、被害救済制度における重篤な被害の認定頻度が、四種混合や麻しん・風疹のワクチンなどと比較して20倍以上であることにも示されています。
一方で、国は、被害者が求めてきた被接種者の追跡調査を実施していないため、この副反応の正確な発生頻度やどのような人に発生しやすいかなどは明らかになっておらず、十分な情報提供ができる状況になっていません
副反応に対する治療方法は確立しておらず、協力医療機関は十分に機能していません。副反応であることを認めず被害者を詐病扱いする医師さえいます。救済制度の適用においても不支給が多く、救済は極めて不十分で積極的勧奨に応じてHPVワクチンを接種した被害者の多くは成人になりましたが、未だに深刻な副反応症状に苦しんでいます。進学や将来の目標の断念、就労の困難に加え、被害を訴えると、子宮頸がんを増やして社会に害をなす者であるかのように批判され、語り尽くせない苦痛を強いられています。
このような副反応被害者の苦しみは、2013年当時から何も変わっていません。被害者に対する「寄り添った支援」を行っているという厚生労働省の説明は、実態とはかけ離れた絵空事です。
積極的勧奨を再開すれば、同じ苦しみを味わう被害者が生まれることは明らかです
この副反応が、HPVワクチンによって惹起された免疫介在性の神経障害であることについては、国内外の研究成果が蓄積されています。一方、HPVワクチンが子宮頸がんの生涯罹患率を減少させる効果は実証されていませ
HPVワクチンを接種しても、子宮頸がんを予防するためには子宮頸がん検診の受診が必要です。子宮頸がんの予防は、副反応がなく、予防効果が科学的に実証されている検診を重視すべきです。
私たちは、このような科学的知見を無視して新たな被害者を生む積極的勧奨再開に強く抗議します。
そして、国が積極的勧奨の再開を強行するのであれば、副反応被害者の救済と、接種しようとする人に対する正確な情報提供が不可欠であることから、あらためて、治療法の研究と真の医療体制の整備、及び副反応の発生状況の把握のための被接種者に対する追跡調査等の実施を求めるものです。」


毎日新聞「HPVワクチンの「積極的勧奨」を再開 厚労省部会が了承」(2021年11/月12日)は,」次のとおり報じました.

「子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、厚生労働省の専門部会は12日、2013年6月から中断していた積極的な接種の呼びかけを再開することを了承した。厚労省が再開時期などを判断し、近く自治体に通知する。呼びかけを控えていた間に接種を受ける機会を逃した人が無料で受けられるようにする方針で、別の専門分科会で議論する。

 HPVワクチンは13年4月、小学6年~高校1年の女子は無料で接種を受けられる「定期接種」の対象となった。だが、直後に全身の痛みなどの症状が相次いで報告されたため、厚労省は13年6月に、接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断した。勧奨の再開により接種対象者には、自治体から個別の案内と予診表が届くようになる。

 HPVワクチンについては、国内外の調査によって、接種後に生じた症状とワクチンとの関連性が明らかになっていないことや、海外の大規模調査で接種による子宮頸がんの予防効果が確認されている。専門部会は10月の前回の会合で、ワクチン接種後に何らかの症状が出た人を診療する協力医療機関の体制強化の必要性を指摘していた。

 厚労省が10~11月に協力医療機関を対象に実施した実態調査によると、医療提供体制が一定程度維持されている一方、多くの医療機関で過去2年半に受診した患者がいなかった。この日の会合で厚労省は、協力医療機関向けの研修会の充実や都道府県との連携を強化することを報告。安全性についても新たな知見を集め評価を続ける。

 HPVワクチンを巡っては、積極的勧奨を中断して以降、接種率が大きく減少。国内では年間約1万1000人が子宮頸がんになり、約2800人が亡くなっている。

 一方、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は同日、厚労省で記者会見し、抗議声明を公表。共同代表の水口真寿美弁護士は「深刻な被害実態と科学的知見を無視した極めて不当な結論と言わざるを得ない。積極的勧奨を再開すれば同じ苦しみを味わう被害者が生まれることは明らかだ」と述べ、被害者の救済や治療法の研究、医療体制の整備などを求めた。【金秀蓮、村田拓也】 」


谷直樹

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by medical-law | 2021-11-12 22:31 | 医療