弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連,消費者裁判手続特例法等に関する検討会報告書に対する意見書

消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律は,特定適格消費者団体が消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる二段階型の訴訟制度を設けるものとして制定され,2016年10月に施行されました.同法律の附則第5条は,施行後3年を経過した場合の見直しを規定しており,消費者庁は,法改正に向けて,2021年3月から消費者裁判手続特例法等に関する検討会を開催し,同年10月,同検討会報告書を公表しました.
日本弁護士連合会は,2021年11月10日,「消費者裁判手続特例法等に関する検討会報告書に対する意見書」を発表しました.
おおむね賛成意見ですが,次のような意見も述べています.

個人情報漏えい事案における慰謝料請求を故意の場合に限定することには反対する。少なくとも重過失による場合は対象とすべきである。
現行法で対象外とされている損害(拡大損害,逸失利益及び人身損害)も,慰謝料と同様にその額を画一的に算定できる場合には,本制度の対象とすべきである。また,特別法上の規定による不法行為に基づく損害賠償請求も,本制度の対象とすべきである。これらの点につき引き続き検討し,本制度の対象とするための体制を早急に構築すべきである。
事業者以外の個人を被告に含める場合の要件として,事業者が故意・重過失により不法行為責任を負う場合で,かつ当該個人も故意・重過失により共同不法行為責任を負う場合と,二重に限定を加えることは要件が厳格に過ぎ,反対する。

谷直樹

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by medical-law | 2021-11-15 05:21 | 弁護士会