弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

県立がんセンターで超音波画像の左右を見誤り腫瘍の位置を誤認して手術(報道)

神戸新聞 「がん腫瘍見誤り別の部位を切除 影響で左の腎臓全摘出 執刀医と助手に経験なく 兵庫県立がんセンター」(2021年11月26日)は次のとおり報じました.

「兵庫県は26日、8月に県立がんセンター(明石市)で50代の男性患者に実施した腎がんの手術で、腫瘍を見誤って別の部位を切除したと発表した。男性はこの医療事故の影響で手術の方針が変更され、左の腎臓を全摘出した。

 県によると、男性のがんはステージ1の初期段階で8月30日、手術支援ロボット「ダビンチ」による手術を受けた。泌尿器外科の50代男性医師が執刀した。

 摘出する部位をエコー(超音波)で確認した際、左腎臓の腫瘍と反対側に位置する隆起した部位を腫瘍と誤認。切除後、検体にメスを入れて内部を確認すると腫瘍が見当たらず、ミスに気付いたという。

 エコーの画面は反転して表示されることが一般的という。患者の腫瘍は腎臓内部に埋没した形をしていた。同センターでの症例は少なく、執刀医と助手を務めた30代男性医師に同様の手術経験はなかった。患者は退院しており、同センターで経過観察を受けている。(金 旻革)」


NHK「明石市の「県立がんセンター」 兵庫県が手術ミスで謝罪」(2021年11月26日)は次のとおり報じました.

「明石市の「県立がんセンター」で行われた手術で、医師が誤ってがんではない部位を切除したため、その後、手術をやり直して左の腎臓をすべて摘出しました。
県では、医療事故として患者に謝罪するとともに再発防止を徹底するとしています。

県病院局によりますと、ことし8月、明石市の「県立がんセンター」で行われた手術支援ロボットを使った50代の男性の初期の腎臓がんの手術で、執刀した医師が超音波検査画像を見誤り、がんではない部位を切除しました。
医師は、この際、切除した部位にがんがあるかを確認せずに、手術を終えたということです。
その後の検査で、切除した部位からがんが見つからなかったことからミスがわかり、4日後に手術をやり直して左の腎臓をすべて摘出したということです。
この男性は現在は退院し、通院して経過観察しているということです。
病院では、医療事故として男性に謝罪するとともに補償する方向で協議を進めることにしています。
また、再発防止のために、超音波検査画像を確認する際には担当の医師と助手の2人でダブルチェックをすることやこうした手術では切除した部位にがんがあるかその場で必ず確認することなどを徹底するとしています。
兵庫県病院局の八木聰病院事業副管理者は「今後、より一層医療安全対策の取り組みを進め再発防止に努めます」とコメントしています。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.

超音波検査を行うとき,例えばプローブを左に移動させると画像も左に移動するようになっています.検査者が左をみようとするときはプロープを左に動かせばよいので,検査者は自然な動きで超音波検査を実施できます.そのため,腹側からの超音波検査の画像は左右反転になります.これは常識と思いますが,このように左右反転を見誤るミスも起きるとすると,ダブルチェックは必要です.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ


by medical-law | 2021-11-28 04:35 | 医療事故・医療裁判