横浜地裁令和3年12月15日判決 腸間膜部の腫瘤精査が遅れた事案で792万円の支払いを命じる(報道)
「横浜南共済病院(横浜市金沢区)で、医師が男性患者の腫瘤(しゅりゅう)に関して適切な診療を怠った結果、十分な治療を受けられずに死亡したとして、遺族が病院側や医師2人を相手取って約7800万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(山田真紀裁判長)は15日、病院側と医師1人に慰謝料など計約790万円の支払いを命じた。
判決などによると、男性は2006年8月、同院での検査で下腹部の腸間膜部に腫瘤が見つかった。担当医師は消化器内科の医師に腫瘤に関する精査を依頼。消化器内科の医師は腸間膜部の腫瘤と直接関連しない大腸の内視鏡検査を行った。さらに、担当医師はこの検査に関する報告書を確認していなかった。
男性は翌年、下腹部の張りを訴え、同院で検査を受けた結果、がんとの診断を受けた。08、09年に2度、別の病院で摘出手術を受けたが、10年6月にがんによる腎不全で70歳で亡くなった。遺族が14年10月に提訴していた。」
テレビ神奈川「医療ミスで男性死亡 病院と医師に賠償命じる判決」(2021年12月15日)は,次のとおり報じました.
「2006年、当時66歳の男性が適切な検査や治療がされずその後死亡したとして、男性の遺族らが入院していた病院に対し損害賠償を求めた裁判で、横浜地裁は15日、病院側に792万円の支払いを命じました。
この裁判は2006年、横浜南共済病院に入院していた当時66歳の男性の右下腹部に腫りゅうが見つかったにも関わらず、およそ1年半後まで適切な検査や治療がされずに、2010年に死亡したとして、遺族が病院と医師2人に対しおよそ8000万円の損害賠償を求めていたものです。
15日の判決で横浜地裁の山田真紀裁判長は「医師による精査が滞りなく進み、医療が提供されていたとしても、男性の死亡との因果関係は認められない」と指摘。
一方で、「腫りゅうには早期の発見・治療が必要であったにも関わらず、およそ1年7カ月という長期間にわたって、何らの検査・治療もされず放置されていた。 治療の開始が遅れたことによる、男性の無念の思いはきわめて大きかった」などとして、横浜南共済病院と医師1人に対し、あわせて792万円の支払いを命じました。
判決後の記者会見で遺族は、「病院の医療行為はひどいことが認められ、医師1人も過失が認められたことは良かったが、もう1人の医師への判決については認められず、納得がいかない」などと話しました。
一方、判決を受けて横浜南共済病院は「コメントできない」としています。」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
癌の診断治療の遅れと死亡との因果関係について相当程度の可能性を認定した判決です.
提訴から判決まで長くかかっているように思います.
谷直樹
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