弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院で担当医は患者が座った状態で中心静脈カテーテルを抜いたため空気塞栓症を発症(報道)

東京新聞「群馬大病院がまた医療ミス カテーテル抜く際、患者に意識障害負わす」(2022年1月12日)は次のとおり報じました.

「前橋市の群馬大病院で昨年四月、担当医が六十代の入院患者に付けていた透析用のカテーテル(管)を抜いたところ、意識障害を負わせる医療ミスが発生したことが十一日、同病院への取材で分かった。斎藤繁病院長は「患者様とご家族に深くおわび申し上げ、(事態の)重大さとご家族の強い思いを真摯(しんし)に受け止めます」と陳謝している。(菅原洋)
 
同病院によると、担当医は患者が座った状態で中心静脈カテーテルを抜いた。こうした際は通常、頭部が低い状態で抜く必要があるとされる。しかし、担当医は頭部を上げた状態で抜いたために血管へ空気が入り、酸素飽和度と意識レベルが低下し、意識障害を発症した恐れがある。
 患者の意識は少しずつ回復しつつあるが、先月の時点でも以前の状態には戻っていないという。
 同病院は二人の外部委員を含む計六人による医療事故調査専門委員会を開き、意識障害は血管に空気が入るなどの空気塞栓(そくせん)症による可能性が高いと認定した。
 同病院は調査委の指摘を受け、静脈カテーテルに関する院内マニュアルを改訂して抜く際の注意点や手順を追加し、全職員対象の研修も実施した。
 透析用カテーテルを抜く際の医療ミスは二〇一三年、静岡市立清水病院でも発生。担当医が今回と似たように男性患者=当時(83)=のカテーテルを頭部を上げた状態で抜いたため、空気塞栓症を発症して約一カ月後に死亡する事態となり、報道されていた。同病院はミスの後、マニュアルについて抜く際は頭部を低くするように改訂している。
 群馬大病院を巡っては一四年、同じ執刀医から肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた八人の患者がその数年前から相次いで死亡していた事態が発覚。その後、同じ執刀医から肝臓の開腹手術を受けた十人の患者も亡くなっていたことも判明した。
 この執刀医は退職し、懲戒解雇相当となった。こうした事態を受け、同病院は「この医療事故の反省を受け、医療安全を強化するために職員一丸となって取り組んできた」と話すが、今回のミスは防げなかった。」


医療安全情報No.113(2016年4月提供)は、座位で中心静脈カテーテルを抜去後、空気塞栓症をきたした事例について、注意喚起を行いました.医療安全情報No.113の集計期間後の2019年までに再発・類似事例が全国で8件あったと報告されています.
座位で中心静脈カテーテルを抜去することが空気塞栓のリスクになることはかなり有名な話なのですが、医師のなかにはそれを知らない人もいるようです.
マニュアルやガイドラインに記載するのみならず、教育・研修で徹底する必要があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2022-01-13 03:44 | 医療事故・医療裁判