弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療事故の再発防止に向けた提言(第 15 号) 薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析

医療事故調査・支援センター(一般社団法人 日本医療安全調査機構)は、2022年1月17日、『医療事故の再発防止に向けた提言(第 15 号)薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析』を公表しました.

「<対象事例の特徴>
・36 例中 35 例は、確認不足により誤投与に至った。
・35 例を薬剤投与工程別にみると、処方時の間違いが 17 例、調剤時の間違いが 2 例、投与時の間違いが 16 例あり、一連の工程においてエラーを検出できなかった。
・36 例中 10 例は部署の配置薬を使用、4 例は持参薬を継続処方する際に誤投与に至った。
・36 例中 29 例は、ハイリスク薬であった。
【薬剤投与工程における確認】

提言 1 薬剤の処方から投与までの工程において、確認のタイミングを明確にし、患者への薬剤の適応を判断する「妥当性チェック」と薬剤名や患者名などを突き合わせる「照合型チェック」を行う(P27 図 2 参照)。

【確認に関するマニュアル】
提言 2 院内のマニュアルは繁忙時を前提とした手順を定め、妥当性チェックと照合型チェックの確認内容がわかるよう具体的な内容を記載する。

【不慣れな薬剤の取り扱い】
提言 3 医療機関は薬剤情報を容易に調べられる環境を整え、医療従事者は不慣れな薬剤を使用する際、薬剤情報を活用し薬剤を理解したうえで使用する。」



【患者の服薬確認への支援】
提言 4 患者が薬を服用する際に薬剤の名称・外観・錠数が照合できるよう、薬剤情報提供書を渡すなど、患者自身が確認する仕組みを整える。

【部署の配置薬と保管】
提言 5 配置薬は薬剤師による調剤工程がない薬を使用するというリスクを踏まえて、薬剤部門や医療安全管理部門も参加し、配置薬を決定する。

【持参薬の鑑別と継続処方における監査】
提言 6 持参薬は薬剤部門が鑑別し、必要時、代替の処方提案を行う体制と、タイムリーに鑑別・鑑査できない場合に、後日あらためて薬剤師が処方内容と薬歴を確認できる仕組みを整える。

【薬剤誤投与後の対応】
提言 7 ハイリスク薬や降圧薬の過量投与は薬物中毒と捉え、投与直後に変化がなくても直ちに患者の監視を開始し、薬物中毒の相談窓口や専門医に相談する

谷直樹

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by medical-law | 2022-01-18 06:44 | 医療事故・医療裁判