2010年9月に生後11カ月の女児が病院で肝臓の検査を受けた後に亡くなった事件の和解まで(報道)
「横浜市で2010年9月、生後11カ月の女児が病院で肝臓の検査を受けた後に亡くなった。病院は当初、検査と死亡の因果関係を否定。真相を求めて、病院側と法廷で争った両親の「闘い」を追った。
「娘はブランコが揺れるたびに気持ちよさそうな顔をして、小さな両手で綱を楽しそうにつかんでいました」
「バイバイも手招きもすぐに覚え、食事もきらいな味なら首を振り『ぶーっ』とだしてしまい、好きな味なら、うなずきながらおいしそうに食べていました」
2010年9月2日午前0時過ぎ。生後11カ月だった中島莉奈ちゃんは、横浜市内の病院で肝機能を調べる検査を受けた直後に容体が急変し、半日後に息を引き取った。葬儀の翌日、母は自宅の居間で一人パソコンに向かい、5時間かけて、莉奈ちゃんと過ごしたどんなささいな瞬間も書き込んだ。娘が生きた証を残したかった。
「安全です」「ベテラン医師が行う」「私たちは小児の肝臓に関しては日本一」。遺族側の弁護士によると、肝臓に針を刺し細胞を採取する「肝生検」の前、病院側は莉奈ちゃんの両親に繰り返し、安全性を強調したという。莉奈ちゃんが夏前に熱を出したことをきっかけに受診した医師から、「肝機能の数値が悪い」と指摘され、専門医がいるこの総合病院を紹介された。
病院への不信感が拭えなかった両親は、司法解剖を決断。その結果、死因は「肝生検に起因する出血死」であることや、針を刺した回数が病院が主張した4回ではなく、実際は6回だったことなどが判明した。
しかし、解剖結果が出たにもかかわらず病院側は死因について、「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」という遺伝性の病気が原因だと主張した。両親は17年10月、病院を相手取り、損害賠償を求めて提訴。横浜地裁での裁判の中で、▽病院が電子カルテを改ざんしていた▽経過観察を担当した研修医が何度も異常を主治医に報告したが取り合ってもらえなかった▽死因は「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」ではなく典型的な出血死――などさらなる問題点が次々と明らかになった。
22年3月18日にようやく両者の和解が成立。病院は取材に「家族や関係者に心労をかけ、心よりおわび申し上げる」とコメントした。
「もし司法解剖をしていなかったら、出血死ということさえうやむやになっていた。こういうことが二度と起こらないように(莉奈ちゃんの身に起きたことを)世の中に発信したい」。両親は取材にこう訴えた。母は一連の経緯を手記にまとめるつもりだ。
4216日。莉奈ちゃんが亡くなってから、病院側と和解が成立するまでにこれだけの時間を要した。悲しみ、怒り、憤り、無力感。両親にとっては、さまざまな思いが去来し、途方もなく長い歳月だったに違いない。両親の長い「闘い」が、悲惨な医療事故の再発防止につながると信じたい。【鈴木悟】」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
問題点が多い事件ほど真相解明が困難で長期化する傾向があるように思います.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓