弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

市立病院が緊急の帝王切開が遅れ子どもが重度の脳性麻痺を負った事案で和解(報道)

NHK「○○市立病院で出産子どもが脳性まひに 両親と市が裁判で和解」(2022年6月28日)は次のとおり報じました.

「6年前に○○市立病院で出産した子どもが脳性まひになったのは「病院の帝王切開の遅れが原因だ」として、両親が損害賠償を求めていた裁判は、米沢市が8600万円余りの賠償金を支払うことで和解が成立しました。

訴状などによりますと、平成28年1月、当時、○○市に住む女性は○○市立病院で帝王切開で女の子を出産しましたが、女の子は仮死状態で生まれ、脳に障害が残り、脳性まひと診断されたということです。

女性とその夫は、女の子が脳性まひになったのは「病院の帝王切開が遅れたことが原因だ」として、病院を運営する米沢市に2億円余りの損害賠償を求める訴えを○○地方裁判所に起こしていました。

そして28日、和解が成立し、原告の弁護士によりますと、市が裁判所の和解案に従って賠償金として8600万円余りを支払うことで合意したということです。

原告の弁護士は会見を開き、「提訴したあとに子どもが亡くなり、賠償金から介護費用が差し引かれたが、バランスをとって増額された部分もあった。このような和解案を示した裁判所には評価をしている」と話していました。

また、両親は弁護士を通じて「私たちの大切な娘を返してほしい。今後このような事故が起こらないよう医療に取り組んでほしい」などとするコメントを発表しました。

一方、○○市立病院は「職員の教育などを通じ、再発防止に取り組んでいく」とコメントしています。」



YBC山形放送「○○市立病院の医療ミス訴訟が和解」(2022年6月28日)は次のとおり報じました.

「2016年1月、○○県の○○市立病院の医療ミスにより、出産した子どもに重度の障害が残ったとして、両親が病院に損害賠償を求めた裁判で、病院側が過失を認め、原告に9900万円余りを支払うことで28日、和解した。

この裁判は、原告の母親が2016年1月、出産のため○○市立病院に入院中、胎児の心拍が急激に低下したのに対し、緊急の帝王切開が遅れ、子供が重度の脳性まひの状態で生まれたとして、病院に対し、慰謝料などおよそ2億円の支払いを求めたもの。原告の分娩がハイリスクであるにも関わらず、帝王切開の判断が遅れたため、
胎児の脳障害につながったなどとする鑑定書に基づき、○○地裁は、病院側の責任を全面的に認め、原告に対し、慰謝料など、9931万円を支払うことを条件に和解が成立した。原告の代理人弁護士は28日、記者会見を開き、原告のコメントを発表した。
「私たちの大切な娘を返して欲しい。その思いはこれからもずっと変わらない。今後このような事故が起こらないよう医療に取り組んでほしい」

訴訟では、当初1億5200万円を支払うとする和解に向けて話し合われていたが、去年12月、原告の子どもが肺炎により死亡したため、介護費」」用などおよそ8000万円を除いた賠償額が示された。」


読売新聞「「帝王切開の判断遅れ、生まれた子供が脳性まひ」…市が8611万円支払いで和解成立」(2022年7月2日)は次のとおり報じました.

「○○県の○○市立病院(同市○○町)で2016年に出産した子供が仮死状態で生まれたのは、帝王切開の判断が遅れたためだなどとして、両親が同病院を設置する市に損害賠償を求めた訴訟は28日、○○地裁で和解が成立した。損害賠償は慰謝料など総額約9931万円で、このうち約8611万円を○○市が原告に支払う。

 ○○市在住の両親らが16年10月、市を相手取り、約2億円の損害賠償を求めて○○地裁に提訴した。

 訴状などによると、女性は15年12月に同病院を受診。その後、胎児発育不全の傾向にあり、帝王切開の可能性があると主治医から説明を受けた。16年1月11日、自宅で破水したため入院。翌12日、胎児の心拍に異常がみられたが、助産師による主治医への緊急要請が遅れたり、主治医の帝王切開の決定が遅れたりしたことで長女が仮死状態で誕生し、胎児低酸素血症による脳性まひになった、という。

 また、○○地裁が委嘱した鑑定医が21年5月に提出した鑑定書は、助産師や主治医の対応を不適切と指摘するなど、病院側の責任を全面的に認める内容だったという。

 同地裁は同9月、鑑定書を踏まえ、賠償額を1億5200万円とする和解案を提示。同12月に長女が肺炎で亡くなったことで将来必要とされる付き添い介護費用がなくなるなどし、最終的に総額9931万円となった。市は、産科医療補償制度に基づいて原告側に支払われた補償金を除く約8611万円を原告に支払う。

 両親は「私たちの大切な娘を返してほしい。被告の対応が遅く、誠意すら感じられず信じられない。今後このような事故が起こらないよう医療に取り組んでほしい」などとコメントした。

 一方、同病院の○○病院長は「診療体制の見直しや職員の教育を通じ、再発防止に取り組んでいく」などとコメントした。」



上記報道の件は私が担当したものではありません.
鑑定までしないと和解しないという被告市の対応はどうかと思いますが、ともあれ、今後、産科のガイドラインにそった取扱いを行い事故を防止していただきたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2022-07-03 21:13 | 医療事故・医療裁判