弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

産科医療事故

産科医療事故は、待ち望んだ赤ちゃんが生まれる希望の瞬間が暗転する事故です
赤ちゃんの命が危機にさらされ、障害が残るなど、全く予想しなかった事態に、戸惑い、混乱し、普通ではいられないのが多いです.
多くの赤ちゃんは元気で生まれるのに、いったいどうしてこのようなことになったのだろう、と何度も何度も問いかけてしまう、と思います.
なかには、あのときこうすれば・・・あのときこうしなければ・・・などと考え、自分を責めてしまう母親もいます.
しかし、産科医療事故は、決して妊産婦の責任ではありません.

産科医療補償制度の「補償対象」と認定される3つの基準を充たすと、補償が受けられ、「原因分析報告書」が作成されます.
この「原因分析報告書」は、なぜこのようなことが起きたかを検討し、事故原因を明らかにするとともに、同じような事例の再発防止を提言するためのものです.
責任追及のための制度ではないことから、責任追及につながる表現はさけているようです.
信頼できる、分かりやすい「原因分析報告書」をめざしているはずなのですが、実際には何回読んでもその意味するとこるがわからない、などということもあると思いますし、納得できない、と感じることもあると思います.
そのような場合は、産科医療事件を専門的に扱っている弁護士に相談することをお奨めします.
また、できれば、産科医療補償を請求する時点で弁護士に相談することをお奨めします.医療側からみた診療記録のみならず、患者家族からみた事実を伝え、それも十分も考慮して分析、判断していただきたいからです.

とくに適切な分娩管理が行われなかったために起きる産科医療事故は、非常によく似ているように思います.
子宮種縮薬の減量・中止を怠る、分娩監視装置の記録(CTG)の波形を正確に読めていない、急速遂娩のタイミングを誤る、吸引分娩・鉗子分娩の適応と要約を誤る、帝王切開の判断と実施が遅れる、などは、残念ながら、ガイドラインが整備された現在でも多い事故原因です.

なお、産科医療事故の中は、どうしてこのようなことになったのか、いろいろ検討しても、不明な場合もあります.しかし、産科医療事件を専門的に扱っている弁護士は、産科事故調査に詳しい複数の産科医と協力して、法律的観点と医学的観点から、多角的に分析し、真実に近づく努力を惜しみません.
また、医療裁判の結果を完全に予想することはできませんが、仮に医療裁判を行った場合の見込みを示すことはできます.

谷直樹

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by medical-law | 2022-08-03 01:00 | 医療事故・医療裁判