弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

市民病院、子宮全摘手術で膀胱損傷、脳の手術の変更や追加、後遺症リスクの説明不十分の2件の医療過誤(報道)

NHK「大垣市民病院 医療事故で和解金145NHK0万円支払いへ」(2022年8月29日)は次のとおり報じました。

「大垣市民病院は4年前に行った手術の際に患者のぼうこうなどを傷つける医療事故があり、和解金として1450万円を支払うことを明らかにしました。病院では、その翌年にも同様の医療事故があったことがわかっていて、再発防止に努めるとしています。

大垣市民病院によりますと4年前の9月、市内の40代の女性の子宮を摘出する手術を行った際、子宮とくっついていたぼうこうや尿管を傷つけて2センチほどの穴が開きました。
医師は、ぼうこうに水を入れて穴が開いていないかを確認していましたが気づかず、翌日に女性が発熱などを訴えて判明したということです。
女性は9か月にわたって仕事を休まざるをえなくなったほか、今も尿意を感じない障害が残っていて、市は和解金として9月以降に1450万円余りを支払うことにしています。
病院では、その翌年の10月にも別の医師が子宮を摘出する手術の際に同じく、ぼうこうを傷つける医療事故がありました。
大垣市民病院の桐山勢生副院長は「患者や家族に多大な迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。医師への指導を徹底し再発防止に努めます」と謝罪しました。
また、病院ではことし6月にくも膜下出血の手術を始めた後に医師が患者や家族に説明せず手術の方法を変更していたということで、500万円の和解金も支払うことにしています。」


岐阜新聞「大垣市民病院で医療事故2件 和解金計1950万円支払いへ」(2022年8月30日)は次のとおり報じました。

 「岐阜県の大垣市民病院(同市南頬町)は29日、後遺症をもたらす医療事故と、手術前の説明が不十分だった事故の計2件があり、いずれも和解に向けた覚書を患者本人と結んだと発表した。市は和解金約1950万円を支払うため、損害賠償に関する議案を9月5日開会の市議会定例会に提出する。

 市民病院によると、子宮筋腫による子宮全摘出と、くも膜下出血の手術の際に発生した。

 2018年に40代女性が子宮全摘出を受け、術後に尿漏れの症状が出た。検査の結果、手術時にぼうこうに穴ができていたことが判明。19年に別の病院で治療を受けたが、排尿障害の後遺症があるという。手術時に、ぼうこう損傷の確認が不十分だったことなどを原因に挙げている。

 また、19年に70代女性がくも膜下出血の疑いで動脈瘤(りゅう)への手術を受けた際、別の未破裂動脈瘤が見つかった。執刀医はそのまま患者や家族に説明せず手術を続けたが、血流障害で左の手足がまひする障害が残った。手術自体に過誤はなかったが、手術の変更や追加、後遺症といったリスクについての説明や同意が不十分だった。

 いずれも損害賠償として和解金を支払う形で、患者と覚書を締結した。」


上記報道の件は、私が担当したものではありません。
手術での臓器損傷は不可避の合併症ではありません。
未破裂動脈瘤が術前の検査で分からないことは少ないと思いますが、同意の範囲を超えた手術を行うときは改めて説明と同意が必要です。


谷直樹

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by medical-law | 2022-09-05 23:09 | 医療事故・医療裁判