令和4年司法試験合格者数1,403人、合格率45.52%の意味するもの
令和4年司法試験の合格者数は1,403人で、2021年より18人減少しました。
受験者数は3,082人で、全体の合格率は45.52%でした。合格率は、「予備試験合格者」が97.53%で、法科大学院受験者に大きく差をつけました。
合格者は男性1014人、女性389人、平均年齢は28.3歳、最年長が68歳で、最年少が18歳でした。
https://www.moj.go.jp/content/001379929.pdf
令和4年司法試験法科大学院等別合格者数等
NHK「司法試験合格者 過去最少の1400人余 3年連続で政府目標下回る」(2022年9月6日 )は、次のとおり報じました。
「ことしの司法試験は、受験者数が過去最少となる中、合格者は1403人と、現在の試験制度が導入されて以降最も少なくなり、政府が目標としている1500人を3年連続で下回りました。
司法試験の合格者の受験番号は6日、法務省のホームページに掲載されました。
法務省によりますと、ことしの司法試験の合格者は去年より18人少ない1403人で、現在の試験制度が導入された平成18年以降、最も少なくなりました。
政府が目標としている1500人を3年連続で下回った形です。
また、受験者数も、これまでで最も少ない去年をさらに300人余り下回る3082人となり、法曹を希望する人をどのように増やしていくかが課題です。
これに関連し、葉梨法務大臣は、閣議のあとの記者会見で「受験者数が減少傾向にあることは重く受け止めている。法曹が活躍する場をできるだけ広げていくために、いろんな形で情報発信していくことが必要だ」と述べました。」
日本弁護士連合会(日弁連)は「令和4年司法試験最終合格発表に関する会長談話」で、
令和4年司法試験最終合格発表に関する会長談話で「当連合会は、法の支配の担い手である弁護士が社会の隅々に至るまでその役割を果たすことができるよう、引き続き、弁護士の活動領域の拡大、司法基盤の更なる整備に努めるとともに、女性法曹の増加、法曹の多様性の確保などにも積極的に取り組んでいく。その前提として、法曹界において多くの有為な人材を確保することが極めて重要であり、関係諸機関とも連携しながら、法曹の魅力を広く社会に発信して法曹志望者増加に向けた取組を一層推進し、質の高い法曹を養成するために力を注ぐ所存である。」と述べました。
「令和3年司法試験最終合格発表に関する会長談話」(当連合会は、今後も、法の支配の担い手である弁護士が社会の隅々に至るまであらゆる所で求められる役割を果たすことができるよう、活動領域の拡大、司法基盤のさらなる整備に努めるとともに、公益的活動や先進的取組等を行う若手会員への支援を積極的に進めていく。また、多くの多様で有為な人材が法曹を志望するよう、弁護士の役割や活動の魅力を広く社会に発信し、質の高い法曹を養成するために力を注ぐ所存である。)
「令和2年司法試験最終合格発表に関する会長談話」(当連合会は、今後も、社会に必要とされる質の高い法曹が社会の隅々で活躍できるよう、弁護士の研修制度の充実等に努める。また、多くの有為な人材が法曹を志すことを期待し、関係機関・団体と連携し法曹の魅力を発信する取組を行うとともに、引き続き法曹の養成に力を注ぐ所存である。)
「令和元年司法試験最終合格発表に関する会長談話」(当連合会は、今後も多くの有為な人材が法曹を志すことを期待するとともに、関係機関・団体と連携しつつ、質の高い法曹を養成するための取組に引き続き全力を尽くす所存である。)
と比べても、新しいところがなく、取組の成果があがっていないにもかかわらず、同じ事を述べているように思います。
令和4年司法試験合格者数1,403人、合格率45.52%は、日弁連の取組にもかかわらず、法曹に魅力を感じず、法曹をめざす人が減少した結果と思います。
令和5年からは、法科大学院3年在学中に司法試験の受験が可能になり、予備試験・司法試験の試験日程が2か月後倒しの7月からになります。法科大学院ルートの不利な点を改めるものです。しかし、それにより司法試験受験生が増え、法曹の質が向上するとは考え難いように思います。
日弁連も法務大臣も合格者数を減らすという考えはないようです。
情報発信、活躍の場を広げることで、受験者を増やそうとしているようです。
法務大臣が「法曹が活躍する場をできるだけ広げていく」と述べたことからすると、裁判以外で法律家が活躍する場面が現時点では少ない事実を認めているように思います。
法律家に魅力を感じて受験する人が増えないと、質の確保が難しくなり、判決のレベル低下につながりかねません。合格者数を維持するのであれば、法曹の魅力を感じる人が減少した原因を全力で分析し、法曹志望者(受験者)増加に向けた根本的な新しい取組と取組実施後の検証が必要なのではないでしょうか。
谷直樹
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