医療DXとカルテの標準化(標準型電子カルテ)
6月4日閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2 0 2 2」に「『全国医療情報プラットフォームの創設』、『電子カルテ情報の標準化等』及び『診療報酬改定DX』の取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため、政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される『医療DX推進本部(仮称)』を設置する。」と記載されました。
医療DX推進本部の第1回会合は、10月に開かれます。
「医療 DX 令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの第1回会議が、9月20日、非公開で開催されました。
資料によると、全国医療情報プラットフォームは、「オンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療機関等が発生源となる医療情報(介護含む)について、クラウド間連携を実現し、自治体や介護事業者等間を含め、必要なときに必要な情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームとする。」とのことです。
電子カルテ情報及び交換方式の標準化の基本的な考え方は、「医療機関同士などでのスムーズなデータ交換や共有を推進するため、HL7 FHIRを交換規格とし、交換する標準的なデータの項目及び電子的な仕様を定めた上で、それらの仕様を国として標準規格化する。」というもので、具体的な取組としては、「厚生労働省においては、令和4年3月に、3文書6情報を厚労省標準規格として採択。今後、医療現場での有用性を考慮しつつ、標準規格化の範囲の拡張を推進。令和4年度は厚生労働科学研究費補助金の事業において透析情報及び一部の感染症発生届の標準規格化に取り組む。」というものです。
「3文書」とは、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書です。
「6情報」とは、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急時に有用な検査、生活習慣病関連の検査)、処方情報です。
標準型電子カルテについては、今後、小規模の医療機関向けに、当該標準規格に準拠したクラウドベースの電子カルテ(標準型電子カルテ)の開発を検討、令和4年度は関係者へのヒアリングを実施しつつ、令和五年度の調査研究事業を実施する予定とのことです。
カルテ(診療録)には、患者の基本情報・主な症状・現病歴(現症)・既往歴・家族歴・社会歴・嗜好・アレルギー・現症や身体所見、検査・入院後経過、治療方針等が記載されますが、どの程度記載するかは、医療機関、医師により異なります。重要な所見、重要な医療行為が記載されていないカルテもあります。医療過誤の疑いのあるカルテをみると、標準的な医療が行われていない場合、記載も標準的ではない傾向があるような印象をうけます。
カルテが標準化されることによって、いままで記載されなかった所見、医療行為が記載されるようになれば、医療の質の向上に役立つと思われます。
クラウドベースの電子カルテ(標準型電子カルテ)に注目したいと思います。
谷直樹
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