弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

名古屋高裁令和4年9月30日判決、摘出時の注意義務違反により舌下神経を傷つけ、そしゃくや発話に支障が生じ就労に影響を及ぼしたと認定(報道)

中日新聞「二審も手術ミス認め賠償額1910万円に増額 豊橋市民病院訴訟」(2022年10月1日 05時05分 )は、次のとおり報じました。

「豊橋市民病院(愛知県豊橋市)で唾液腺にできた腫瘍の摘出手術を受けた県内の五十代男性が、執刀医のミスで舌に障害が残ったなどとして、市に三千八百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が三十日、名古屋高裁であった。松村徹裁判長は市に千五百六十万円の支払いを命じた一審名古屋地裁判決を変更し、賠償額を千九百十万円に増額する判決を言い渡した。
 判決によると、男性は二〇一六年七月に同病院を受診し、同十一月に摘出手術を受けたが、舌の右側に運動障害が残った。
 一審判決は「医師は摘出時に注意する義務を怠り、舌下神経を傷つけた」と認定。松村裁判長は同様の判断を示した上で「そしゃくや発話に支障が生じ、就労に影響を及ぼした」と述べ、手術ミスによる賠償額を増額した。
 同病院の浦野文博院長は「当院の過失について医学的観点から示されておらず、認めがたい。判決内容を十分に精査した上で、慎重に判断する」とのコメントを出した。」


腫瘍摘出手術における舌下神経損傷は、通常、注意すれば回避できるものです。
本件の腫瘍摘出手術における注意義務違反(過失)は推定され、病院側が注意義務違反が無いことを離床しない限り、責任が認められると考えるのが相当であると思います。
これが自治体病院でなければ、病院側が責任を認め訴訟前に示談ができた事案ではないか、と思います。


谷直樹

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by medical-law | 2022-10-03 11:21 | 医療事故・医療裁判