弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

公立病院が免職処分について謝罪し、処分と訴訟上の主張を撤回し和解(報道)

NHK「免職取り消し訴訟で和解成立 病院側が処分を撤回し解決金」(2022年10月19日)は、次のとおり報じました。

「有田町にある公立病院にソーシャルワーカーとして勤務していた男性が、「免職処分は自分を排除することを目的にしたパワーハラスメントで不当だ」などと処分の取り消しなどを求めていた民事裁判で、病院側が処分を撤回した上で男性側に解決金を支払うことなどを条件に和解が成立しました。

訴えていたのは、伊万里市と有田町でつくる組合が運営する伊万里有田共立病院にソーシャルワーカーとして勤務していた48歳の男性です。

訴状などによりますと、この男性は病院で患者などからの相談業務にあたっていましたが、その内容を患者のカルテに記入したところ、病院側から「主治医の指示なく、準医療行為をした」などとして病院から業務改善命令を受けた上で、令和元年9月に分限免職の処分を受けたということです。

このため男性は、病院を運営する組合に対して「処分は自分を排除することを目的にしたパワーハラスメントが原因で不当だ」として処分の撤回と解決金の支払いを求める訴えを翌年、佐賀地方裁判所に起こしました。

これに対し病院側は「パワハラにはあたらない」などと反論していました。

原告側によりますと、裁判は18日病院側が男性の分限免職の処分を撤回し、男性側に解決金1300万円を支払う一方、男性は病院を退職することなどを条件に和解が成立したということです。

原告の男性は記者会見で「和解勧告を病院側が受け入れたことは私たちの主張を認めることになり、今後は病院で働く人や患者の相談や対応の環境改善を進めてほしい」と述べました。

一方で、伊万里有田共立病院では、「コメントは差し控えたい」としています。」


「伊万里有田共立病院側、職員の免職撤回 解決金1300万円で和解成立 佐賀地裁」(2022年10月19日)は、次のとおり報じました。

「伊万里有田共立病院(西松浦郡有田町)で患者や職員の相談窓口を担当していた元職員の男性(48)が免職処分の取り消しなどを求めていた訴訟は、病院側が処分について謝罪、撤回し、解決金1300万円を支払うことで、佐賀地裁(三井教匡裁判長)で和解が成立したことが19日、分かった。和解は18日付。」

毎日新聞「ハラスメント対応を」と求めた相談員を免職 公立病院で何が」( 2022年10月18日)は、次のとおり報じました。

「佐賀県伊万里市と有田町でつくる組合運営の公立病院に地方公務員の医療ソーシャルワーカー(MSW)として勤務していた40代男性が分限免職処分の取り消しなどを求めた佐賀地裁の訴訟は18日、組合が謝罪の意を示し、訴訟での主張と免職処分を撤回するなどの内容で和解が成立した。院内のハラスメント対応などを担当していた男性は「病院側にハラスメントへの適切な対応を求めたところ、根拠なく業務改善や配置転換を命じられるパワーハラスメントを受け、免職にされた」と訴えていた。地域医療を担う公立病院で何があったのか。【樋口岳大】

 男性は有田町の伊万里有田共立病院に勤務し、病院を運営する伊万里・有田地区医療福祉組合を相手取り、免職処分の取り消しと精神的苦痛に対する慰謝料など495万円の国家賠償を求めていた。原告代理人によると、公的機関が訴訟の和解で、公務員の免職処分について謝罪し、処分を撤回したうえで訴訟上の主張まで撤回するのは極めて異例だ。

 訴状などによると、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持つ男性は2018年4月、同病院の嘱託職員として働き始め、19年4月に正職員となった。地域医療連携室のMSWとして不安や問題を抱える患者から相談を受ける他、職員のハラスメント事案に対応するハラスメント委員会の委員を務めた。男性は職員からハラスメントの相談を受ける窓口になり、病院側の対応が不十分だと考えられる事案では院長らに繰り返し対応を求めていた。男性自身も医師から威圧的な言動を受け、同僚に相談したこともあった。

 同5月、不可解なことが起こ・・・



上記報道の件は私が担当したものではありません。
和解ではありますが、免職処分について謝罪し、処分を撤回したうえで訴訟上の主張まで撤回したわけですから、処分が不当で病院側の主張に理由がないことが明らかになったと考えられます。

谷直樹

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by medical-law | 2022-10-20 06:01 | 司法