千葉地裁で裁判資料58点を紛失(報道)
「千葉地裁は19日、保存期間が終わっていない民事訴訟の記録58点を紛失したと発表した。庁舎外に持ち出された形跡が見当たらないため、誤って廃棄した可能性が高いとしている。今後、訴訟の原告や被告、代理人を務めた弁護士などに記録の写しを保存していないかどうか照会し、できる限りの復元を目指す。
同地裁によると、紛失したのは1988~99年に終結した民事訴訟の判決44点と和解調書14点の原本。このうち1点について、2020年6月に閲覧申請があり、記録が見つからなかったことから、紛失が判明した。
最高裁の規定では、民事訴訟の判決原本の保存期間は50年、和解調書は30年と定められている。同地裁によると、保存期間が5年と短い訴状などの資料と一緒に保管していたため、まとめて廃棄してしまった可能性が高いという。
同地裁は「判例集に掲載されるような訴訟は含まれていない」としている。小野瀬厚所長は「関係者の皆様に深くおわび申し上げます。今後、二度とこのような事態を発生させないよう、適正な事務処理を徹底して参ります」とのコメントを発表した。【長沼辰哉】」
司法修習生のとき、裁判所の保管状況を見せてもらったことがあります。
裁判所の書類紛失は昔からで時々あります。これは件数が多かったので公表されたのでしょうが、2020年6月に閲覧申請があり記録が見つからなかった時点では公表されず、今になって公表されたのはなぜでしょうか。
なお、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)は、「公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」と定めています。
「公務所の用に供する」とは、「現に公務所で使用または保管されている」という意味です。
毀棄者に毀棄するという認識、認容があっても、判決文等の文書を保存期間が5年と短い訴状などの資料と誤認したとすれば、おそらく事実の錯誤となり、違法性の意識の認識可能性はなかったことになるでしょう。
近い将来、裁判資料が電磁化されると、紙の書類とは違った保管方法が求められるでしょう。
谷直樹
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