弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪高裁令和4年10月27日判決、後遺症は手術中に血圧管理を適切に行わなかった過失によるものと認定し6600万円余の賠償を命じる(報道)

大阪高裁令和4年10月27日判決(山田明裁判長)は、「医師らは手術での血圧管理について注意義務を怠り、病気の性質や男性の状態などを検討しなかった。その結果、男性にとって、血圧が過度に低下した状態で手術が行われ脳梗塞が拡大した」などとして、病院を運営する国立病院機構に6600万円余りの賠償を命じました。

もやもや病の50歳代男性が平成21年に国立病院機構奈良医療センター手術を受け、右半身のまひや失語症などの後遺症が残った事案です。
奈良地方裁判所は、令和3年3月、原告の請求を棄却する判決を下していました。

NHK「奈良医療センターの手術で後遺症”2審は病院側に賠償命令」(2022年10月27日)ご参照

上記報道の件は私が担当したものではありません。
成人もやもや病の手術において、術中は適正な血圧と normocapnia (二酸化炭素正常状態)を保ち脱水,貧血を回避し,術後も十分な水分補給を行う必要がある、とされています。
上記高裁判決は、注意義務違反の認定のみならず、低すぎる血圧と脳梗塞の拡大との因果関係を認めた点でも参考になる判決です。

谷直樹

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by medical-law | 2022-10-28 09:20 | 医療事故・医療裁判