サルコペニア
厚生労働省の「e-ヘルスネット」は、次のとおり解説します。
「sarcopenia / 筋肉減少症 /
高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。
筋肉の量が減少していく老化現象のことです。25~30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行します。筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進んでいきます。主に不活動が原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。
サルコペニアは、広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの抗重力筋において多く見られるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になり、放置すると歩行困難にもなってしまうことから、老人の活動能力の低下の大きな原因となっています。
筋力・筋肉量の向上のためのトレーニングによって進行の程度を抑えることが可能ですので、歳を重ねる毎に意識的に運動強度が大きい運動(レジスタンス運動)を行うことが大切です。
頻繁につまづいたり立ち上がるときに手をつくようになると症状がかなり進んでいると考えられ、積極的にトレーニングを行うことがその後の生活の質的な安定に大いに役立ちます。特につまづきは、当人や周囲が注意力不足のせいだと思い込んでいることが多いため、筋力の低下が原因と気付かない場合があり、注意が必要です。」
アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)は,地域やプライマリ・ケア現場等において,診断装置なしで必要な介入を促進するために,サルコペニアのリスクがある人々を早期に特定するための基準を策定しています。身体機能の低下または筋力低下によって「サルコペニアの可能性あり」の診断を行います。
「サルコペニア診療ガイドライン」https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/10/109_2162/_pdf/-char/ja
は、「サルコペニアは、加齢が最も重要な要因であるが、活動不足、疾患(代謝疾患、消耗 性疾患など)、栄養不良が危険因子である。」とします。
します。
同ガイドラインは、
「サルコペニアでは転倒、骨折、フレイルとなるリスクが高い。
サルコペニア肥満では脂質異常症となるリスクが高く、また心血管疾患による死亡、総死亡のリスクが高い。
サルコペニアを合併すると癌患者の生存率が低下する。
サルコペニアを合併すると手術の死亡リスクが高くなる。」
とします。
予防については、
「適切な栄養摂取、特に1日に(適正体重)1kg 当り1.0g以上のたんぱく質摂取はサルコペニアの発症予防に有効である可能性があり、推奨する。(エビデンスレ ベル:低、推奨レベル:強)」
「運動習慣ならびに豊富な身体活動量はサルコペニアの発症を予防する可能性があり、運動ならびに活動的な生活を推奨する。(エビデンスレベル:低、推奨レベル:強)」
とします。
治療については、
「サルコペニアを有する人への運動介入は、四肢骨格筋量、膝伸展筋力、通常歩行 速度、最大歩行速度の改善効果あり、推奨される。(エビデンスレベル:非常に低、推奨レベル: 弱)」
「サルコペニアを有する人への必須アミノ酸を中心とする栄養介入は、膝伸展筋力の改善効果があり、推奨される。しかしながら、長期的アウトカム改善効果は明らかではない。(エビデンスレ ベル:非常に低、推奨レベル:弱)」
とします。
治療効果のエビデンスが非常に弱いので、エビデンスレベルが低くても予防が重要な疾患です。
谷直樹
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