弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

市立病院で主治医に情報共有されず、肺がんの診断・治療が約4年半遅れ、患者死亡(報道)

川崎市立井田病院が11月24日記者会見を開き、患者が平成29年12月と令和3年12月に骨折で入院した際に、放射線診断科医師がCT画像から肺がんの疑いを示す所見を見つけたにもかかわらず、主治医の整形外科医にはその情報が共有さなかったことを明らかにしました。
令和4年5月に心不全のため救急搬送され、別の医師が過去のCT画像などを確認し、肺がんの見落としが分かり、患者は肺がんの治療を受けましたが、同年8月に肺がんで亡くなったとのことです。患者は80歳代の女性とのことです。

放射線診断科医が報告書を作成するだけでその内容を主治医に伝えず、主治医が報告書を確認しなかったために起きた事故と思われます。
肺がんにおいて4年半の治療の遅れは大きく、情報共有ミスが患者の死亡という重大な結果をもたらしたものと思います。
情報共有のためのシステムが構築されていなかったことと医師が情報共有のために一手間かけることを惜しんことが問題と思います。

NHK「川崎市の市立病院でがんの所見生かされず患者死亡」(2022年11月24日)ご参照
毎日新聞「がん診断、4年半遅れ患者死亡 情報共有ミス 川崎市立井田病院」(2022年11月24日)ご参照

谷直樹

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by medical-law | 2022-11-25 10:16 | 医療事故・医療裁判